日本航空(JAL/JL、9201)は6月18日、第65期株主総会を東京・千代田区の日本武道館で開催した。配当や10月に実施する株式分割、取締役選任など、3つの議案をすべて可決して閉会した。
株主からは、昨年から相次いだ整備ミスや、LCC(低コスト航空会社)でみられるパイロット不足に関する質問が出た。
会社側からは整備ミスについて、5月に5日間整備作業を中断して再発防止策を検討したミーティングを開き、コミュニケーション不足解消を図っていると説明。パイロット不足については、現時点では不足していないものの、採用人数などの見直しを進めていく考えを示した。
機材面では、ボーイングが2020年に初号機を引き渡す予定の次世代大型機777Xに関する質問があった。会社側は「あらゆる航空機を研究している。引き続き研究してきたい」と述べるにとどめた。
JALでは現有する46機の777の後継機として、2019年からエアバスA350 XWBを6年掛けて最大56機導入する。世界の航空会社を見ると、ボーイングとエアバス双方から機材を調達するのが一般的で、ボーイング一辺倒だったJALは異端になりつつあった。
A350を選定した点について株主から「A350は日本の生産比率が低く国益を損ねる。選定がきな臭い」との意見が出た。議長を務めた植木義晴社長は、「航空機は日本航空が持つ資産で、一番大きく重要なもの。最高の飛行機を後輩に残していきたいと考え、ボーイングとエアバス双方を比較した中で、我々が今選ぶ機体はA350。きな臭いものは何もございません」と、自ら説明した。
また、別の株主からは世界の美女カレンダーの配布を再開して欲しいという要望も出たが、会社側は再開予定はないと応じた。
可決された議案のうち株式分割は、9月30日現在の株主が所有する普通株式1株につき、2株に分割する。効力発生日は10月1日。航空法の規定により、同社が名義書換を拒否した外国人持株調整株式も対象となる。
株式分割前の発行済株式総数は1億8135万2000株で、分割後は2倍の3億6270万4000株に増加。定款にある発行可能株式総数は、現在の4億株から7億5000万株に、普通株式の発行可能種類株式総数を3億5000万株から7億株に変更した。
株主優待券の配布基準は変更しないが、株式分割による単位あたりの金額引き下げで、個人投資家を中心に投資しやすい環境を整える。
配当は普通株式1株160円で、配当総額は290億1631万3600円。これまでは連結純利益の20%程度を配当に充てる方針だったが、連結純利益から法人税等調整額を除いた額の20%程度に改めた。
新役員体制については、新たに藤田直志・専務執行役員 旅客販売統括本部副本部長と斉藤典和・専務執行役員 財務・経理本部長の2人を取締役に選任。取締役はこれまでの7人(うち2人は社外取締役)から2人増の9人(同)となった。
入場者数は1135人で、再上場後初となった昨年の1627人より減少。所要時間は2時間26分だった。質問者数は13人で、3分ある質問時間を過ぎても質問を続けるなど、議事進行を妨げて退場処分となった株主は2人。退場を指示された株主が去ると、拍手が起きた。
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日本航空
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