エアライン, 企業, 官公庁 — 2025年3月18日 14:05 JST

JTA、県内路線初の国産SAF便 非食用種子が原料、NEDOら4者

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 日本航空(JAL/JL、9201)グループで沖縄を拠点とする日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)ら4者は3月18日、県内路線初となる国産代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」によるフライトを実施すると発表した。県内で採取した食用に適さない植物の種子を原料とし、プロジェクトにはJ-オイルミルズ(2613)、太陽石油、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の計4者が参画する。

テリハボク(左上)とポンガミア(左下)の種子から生成したニートSAF(JTA、J-オイルミルズ、太陽石油、NEDOの4者提供)

沖縄県内路線初の国産SAF便を運航するJTA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 25日の定刻午後3時35分那覇発宮古行きNU565便に、SAFを混合した燃料を使用する。今回のフライトは、NEDOの助成事業である「バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーンモデルの構築」として実施する。

 J-オイルミルズは、食用に適さない植物「テリハボク」と「ポンガミア」の種子を搾油・精製した油脂から、SAFの原液「ニートSAF」を生成する。これらの植物は沖縄では街路樹や防風林に利用されており、油分が多いのが特徴で、県管理道路の街路樹から落下したものを活用する。製造するニートSAFは、国際品質規格の「ASTM D7566 Annex A2」に適合する。NEDOは、J-オイルミルズのSAF研究を助成する。

 太陽石油は、ニートSAFと従来のジェット燃料を同社の沖縄事業所で混合。当該便に投入するボーイング737-800型機に給油する。太陽石油は初のSAF供給となる。

 国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)は、2050年までにCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標としている。JALグループは、2030年までに全搭載燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げている。JTAはSAFフライトを初めて運航する。

 4者は今回のフライトにより、地域資源を活用した脱炭素社会の構築したい考え。今後は沖縄県での試験栽培などによりSAFの原料栽培や使用を拡大し、SAFの「地産地消」を目指したい考え。

関連リンク
日本トランスオーシャン航空
J-オイルミルズ
太陽石油
NEDO

JALのSAFへの取り組み
JAL・エアバスら、木材から純国産SAF 5社で脱炭素化加速(25年3月17日)
JALと日本グリーン電力開発、規格外ココナッツで国産SAF商用化へ(24年11月24日)
国産SAF理解深化へ、ACT FOR SKY初のシンポジウム ANA・JALら15者集結(24年11月20日)
JAL、法人向けにSAF活用の新事業 CO2削減を証書化(24年3月26日)
小池都知事「食用油で飛行機飛ぶ事知って」国産SAF実現へ廃油回収(24年3月24日)
JALと横浜市、食用油回収し国産SAF原料に 3月から実証実験(24年2月28日)
廃食用油から国産SAF、JAL・ANAら29者参画 日揮が“全員参加”Fry to Flyプロジェクト(23年4月18日)
ANAやJALら、国産SAF実用化へ「ACT FOR SKY」設立 代替燃料で脱炭素社会へ(22年3月2日)

国産SAF
DHL、コスモ石油と国産SAF調達契約 年間720万リットル供給へ(25年1月29日)
スシローの廃食用油で国産SAF 日揮ら4社が基本合意(23年4月6日)

JAL赤坂社長(当時)に聞くSAF
航空業界の2050年脱炭素化「全然厳しい」特集・JAL赤坂社長に聞くコロナ後の成長戦略(3)(23年6月17日)

IATAの予測
IATA、24年のSAF生産3倍150万トン 増産へ解決策提案(24年6月3日)