全日本空輸(ANA/NH)は11月29日、羽田空港国内線の上級会員向けチェックインカウンターを報道関係者に公開した。12月から順次リニューアルオープンし、専用保安検査場ではパソコンや液体物を手荷物から取り出す必要がなくなり、通過する時間を短縮できるという。
—記事の概要—
・PC出さずに保安検査
・壁に食器再利用
PC出さずに保安検査
リニューアルするのは、ANAのマイル制度「ANAマイレージクラブ(AMC)」の最上位ステータス「ダイヤモンドサービス」会員向けの「ANAスイートチェックイン(ANA SUITE CHECK-IN)」と、AMC上級会員やプレミアムクラス利用者向けの「ANAプレミアムチェックイン(ANA PREMIUM CHECK-IN)」で計3カ所。羽田第2ターミナル南側にあるスイートチェックインが12月2日、北側のプレミアムチェックインが18日にリニューアルオープンし、残る南側のプレミアムチェックインは2025年夏を予定している。
保安検査には、複数の乗客が検査レーンを同時に利用できる「スマートレーン」を導入。パソコンや液体物の取り出しが不要になる。これにより、スイートチェックインの処理能力は従来の最大3倍相当、プレミアムチェックインは同2倍相当に向上し、保安検査場を通過するまでの時間を短くする。
羽田の第2ターミナルは、一般の保安検査場には2019年10月からスマートレーンが順次導入されており、パソコンなどが取り出し不要な検査に切り替わっている。今回のリニューアルで、上級会員向けも同様になる。現在スマートレーンを使いたい上級会員は、一般の保安検査場の専用入口を利用できる。
ANAのCX推進室商品企画部で、チェックインカウンターを担当する地上商品企画チームの稲井裕子さんは「2010年10月にオープンしたいまのスイートチェックインは狭く、日常的に混雑している。2010年ごろはカウンターに寄るお客さまが多かった」と、14年が経過し、利用者がカウンターに立ち寄らずに保安検査を受けるようになったことから、実情に合わせた施設にリニューアルするという。
壁に食器再利用
スイートチェックインは、国内線は羽田空港のみで、国際線は羽田・成田の2空港にある。今回の羽田国内線のリニューアルでは、ユネスコ無形文化遺産にも登録された伝統技術の一つ、左官壁を採用して左官職人の久住有生さんが手掛けた。ダークブラウン系の落ち着いた空間で、羽田の国内線だけの特別感を出した。カウンターを3台増設し、車いすなどでも利用しやすい高さが低い「ローカウンター」を含めて計6台にした。
プレミアムチェックインには、デジタルサイネージを新設。保安検査場への誘導やラウンジの混雑状況などの情報提供を予定している。
両施設とも、入口付近の壁材には機内食用の食器のうち、割れたり欠けて廃棄されたものを再利用。焼きもの独特の色味や風合いの陶板を用いており、スイートチェックインはダークブラウンと真鍮(しんちゅう)による金色の帯、プレミアムチェックインはANAのコーポレートカラーであるブルーに銀色の帯を配し、ANA機の垂直尾翼をイメージした。
羽田の第2ターミナルは2004年12月1日に本館がオープンし、今年で20周年を迎える。2018年12月10日に供用開始となった本館北側のサテライト施設とは、2025年3月ごろに結ばれ、徒歩で移動できるようになる。また、現在のスイートチェックインと南側プレミアムチェックインは2010年10月13日、北側のプレミアムチェックインは2011年9月15日にオープンした。
*写真は19枚。
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