官公庁 — 2024年11月21日 12:50 JST

23年度の航空事故3件、重大インシデントは1件=国交省

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 国土交通省航空局(JCAB)が発表した、2023年度の航空事故や重大インシデントの発生状況をまとめた「航空輸送の安全にかかわる情報」によると、航空事故は3件、航空事故につながりかねない「重大インシデント」は1件、安全上のトラブルは795件だった。

—記事の概要—
航空事故
重大インシデント
安全上のトラブル
事業者別報告件数
機種別報告件数

航空事故

海保機との衝突で焼け落ちたJALのA350-900 JA13XJ=24年1月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 3件発生した航空事故は、今年1月に羽田空港で、2月に愛知・蒲郡市付近の上空で、3月に成田空港南東の上空で、それぞれ1件ずつ発生した。

 羽田空港の事故は1月2日の日没後に発生。日本航空(JAL/JL、9201)の札幌(新千歳)発羽田行きJL516便(エアバスA350-900型機、登録記号JA13XJ)が午後5時47分に羽田のC滑走路(RWY34R)へ着陸時に、新潟空港へ向かう海上保安庁機(MA722、ボンバルディアDHC-8-Q300、JA722A)と衝突し、両機とも炎上・大破した。JAL機の乗客367人(幼児8人含む)と乗員12人(パイロット3人、客室乗務員9人)の計379人のうち、17人が負傷。海保機は乗員6人のうち機長を除く5人が亡くなった。

 蒲郡市付近上空の事故は、2月1日未明に発生。全日本空輸(ANA/NH)の羽田発バンコク行きNH849便(ボーイング787-9型機、JA899A)が午前1時8分ごろ、蒲郡市の南92キロ付近、高度約8400メートルを飛行中に乱気流に遭遇し、乗客246人、乗員11人の計257人のうち接客サービス中だった客室乗務員1人が右足関節の外果(くるぶし)を骨折した。

 成田空港南東上空の事故は3月20日夕方に発生。ANAのロサンゼルス発成田行きNH5便(787-9、JA891A)が午後4時15分ごろ、成田空港の南東約80キロ付近、高度約1500メートルを飛行中に落雷を受けた。当該便は成田へ侵入中で、着陸後に整備士が点検したところ機首のレドームの右側隔壁付近が損傷しており、大修理に該当することが判明した。同便には乗客195人、乗員12人の計207人が搭乗していたが、けが人はなかった。

重大インシデント

 重大インシデントは1件で、7月12日午前に新千歳空港の南約46キロ地点の上空で発生した。

 JALの羽田発函館行きJL585便(767-300ER、JA614J)が函館空港へ着陸しようとした際、視界不良で着陸を2回やり直した後に新千歳空港へ向かったが、着陸時に残すべき予備燃料が社内規定量を下回る可能性があったため、管制官に対して優先着陸を求めた。

 同機は羽田を12日午前7時43分に出発。函館には午前8時55分に到着予定だったが、目的地を新千歳空港へ変更し、午前9時35分ごろ管制官に優先的な取り扱いを求め、新千歳へ同49分に着陸した。乗客249人(幼児3人含む)と乗員9人(パイロット3人、客室乗務員6人)にケガはなく、機体の損壊もなかった。

安全上のトラブル

 795件報告があった「安全上のトラブル」は、「機器からの指示による急な操作等」が192件で最多。「航行中の構造損傷」が5件、「航行中のシステム不具合」が140件、「航行中の非常用機器等の不具合」が33件、「運用限界の超過、経路・高度の逸脱」が75件、「その他」が350件だった。

事業者別報告件数

 事業者別の報告件数は運航便数の多さに比例し、大手2社の件数が目立つ。JALグループが269件、ANAグループが217件だった。

 このほか、日本貨物航空(NCA/KZ)が29件、スカイマーク(SKY/BC、9204)が76件、エア・ドゥ(ADO/HD)が26件、ソラシドエア(SNJ/6J)が22件、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)が29件、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が36件、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が19件、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)が12件、アイベックスエアラインズ(IBEX、IBX/FW)が15件、フジドリームエアラインズ(FDA/JH)が22件、オリエンタルエアブリッジ(ORC/OC)が7件、天草エアライン(AHX/MZ)が1件、トキエア(TOK/BV)が3件、新中央航空(CUK)が2件、東邦航空(THK)が1件、「その他航空運送事業者」が14件、「航空機使用事業者」が67件だった。

機種別報告件数

 機種別では、737-700/-800が233件、747が29件、767が73件、777が35件、787が134件、A320が109件、A350が26件、A380が1件、DHC-8-200が4件、DHC-8-400が38件、E170/E175‏/E190が47件、CRJ700が15件、ATR42/72が19件、サーブ340Bがゼロ、Do228が2件、「その他航空運送事業機」が34件、「航空機使用事業機」が68件だった。

 JCABは8月1日に、第35回航空安全情報分析委員会(委員長・河内啓二東京大学名誉教授)を開き、2023年度の安全情報について審議。12月ごろに開かれる次回の委員会では、2024年度上期に報告された安全情報について評価・分析などを行う。

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国土交通省

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