国土交通省航空局(JCAB)は、日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)、LCC 3社など、特定本邦航空運送事業者10社に関する「航空輸送サービスに係る情報公開」の2024年4-6月期分を公表した。各社の定時出発は10社中6社が、定時到着は3社が、それぞれ90%を上回った。残りはいずれも80%台で、70%台に落ち込むところはなかった。
JCABの情報公開は「定時運航率」「遅延率」「欠航率」などを調査しているが、今年度からは定時運航率を出発と到着の2つに分けた。これまでは出発のみが対象だったが、より利用者の利便性に直結する到着にも広げた。
10社のうち定時出発率が最も高かったのはスターフライヤー(SFJ/7G、9206)、定時到着率はスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)となった。欠航率が最も低かったのもスプリング・ジャパンだった。
10社全体の遅延率は0.01ポイント悪化し11.52%、欠航率は0.06ポイント改善し0.90%だった。遅延の原因は「機材繰り」、欠航は「その他」が目立った。
—記事の概要—
・定時出発率
・定時到着率
・遅延率
・欠航率
・航空会社ごとの定時出発・到着率、遅延率、欠航率
・旅客数上位5路線
・利用率上位5路線
・利用率下位5路線
定時出発率
定時出発率は、スターフライヤーが94.66%で1位を獲得。2位はスプリング・ジャパンで94.26%、3位はソラシドエア(SNJ/6J)で92.17%だった。
値がもっとも低かったのは、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の83.77%。2位はANAの84.77%、3位は日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)の86.07%が続いた。
定時到着率
今年度から調査対象となった定時到着率は、スプリング・ジャパンが95.13%で1位を獲得。2位はスターフライヤーで93.03%、3位はソラシドエアで92.13%だった。
値がもっとも低かったのは、ANAの82.53%。2位はジェットスターの84.90%、3位はJTAの85.00%が続いた。
遅延率
出発予定時刻よりも15分を超えて出発した「遅延率」は、ジェットスターが16.24%でワースト1位。遅延理由の1位は「機材繰り」が最も高かった。以下、ANAが15.24%、JTAが13.87%と続いた。遅延率が最も低かったのはスプリング・ジャパンで、5.21%だった。
遅延理由の1位は、エア・ドゥ(ADO/HD)のみ「その他」で、残りの9社は「機材繰り」だった。
欠航率
欠航率は、1.41%だったエア・ドゥがワースト1位。欠航理由は「機材繰り」が最も高かった。以下、ANAが1.15%、JALが0.88%と続いた。最も低かったスプリング・ジャパンの欠航率は0.19%だった。
欠航理由の1位は、JALとJTA、スプリング・ジャパンが「天候」、エア・ドゥとスターフライヤー、ジェットスターが「機材繰り」、そのほかの4社が「その他」だった。
以下は航空会社ごとの定時出発・到着率と遅延率、欠航率。
航空会社ごとの定時出発・到着率、遅延率、欠航率
航空会社 定時出発率 定時到着率 遅延率 欠航率 ・ANA 84.77 (87.18) 82.53 (-) 15.24 (12.80) 1.15 (0.90) ・JAL 90.54 (88.79) 87.27 (-) 9.46 (11.20) 0.88 (1.10) ・JTA 86.07 (92.79) 85.00 (-) 13.87 (7.17) 0.79 (1.99) ・SKY 92.05 (93.68) 89.07 (-) 7.94 (6.29) 0.60 (0.74) ・ADO 91.71 (86.25) 89.37 (-) 8.29 (13.69) 1.41 (0.64) ・SNJ 92.17 (91.85) 92.13 (-) 7.82 (8.12) 0.64 (0.89) ・SFJ 94.66 (93.21) 93.03 (-) 5.33 (6.77) 0.35 (0.53) ・APJ 89.43 (80.78) 88.63 (-) 10.54 (19.18) 0.28 (0.77) ・JJP 83.77 (89.66) 84.90 (-) 16.24 (10.36) 0.87 (0.94) ・SJO 94.26 (95.13) 95.13 (-) 5.21 (5.16) 0.19 (0.00)
*括弧内は前年同期の値
*航空会社ごとの合計値は別の資料によるもので上記表の合計値とは小数点以下が一致しない社がある
また、輸送実績は平均搭乗区間距離が前年同期比1キロ増の954キロメートル、輸送人員が41万480人減の2407万9835人、輸送人キロが3億7274万9000人キロ減の229億6890万人キロ、旅客収入が127億3400万円増の3353億6500万円、輸送人員あたり旅客収入が700円増の1万3900円、輸送人キロあたり旅客収入が0.8円増の14.6円だった。
旅客数は上位5路線のうち、羽田-札幌(新千歳)間が214万9603人で1位。全路線では2376万8808人となった。ロードファクター(座席利用率、L/F)は上位5路線の1位が、那覇-与論間の92.77%、下位5路線の1位は丘珠-奥尻間で39.92%、全路線平均は70.6%だった。
旅客数上位5路線
1位 羽田-札幌 214万9603人
2位 羽田-福岡 203万6465人
3位 羽田-那覇 145万7299人
4位 羽田-伊丹 115万9338人
5位 羽田-鹿児島 55万3399人
利用率上位5路線
1位 那覇-与論 92.77%
2位 成田-関西 89.40%
3位 成田-宮崎 88.05%
4位 下地島-羽田 86.89%
5位 石垣-成田 86.87%
利用率下位5路線
1位 丘珠-奥尻 39.92%
2位 伊丹-但馬 41.86%
3位 函館-奥尻 42.20%
4位 鹿児島-松山 43.00%
5位 下地島-那覇 43.61%
特定本邦事業者*
・日本航空:JAL
・全日本空輸:ANA
・日本トランスオーシャン航空:JTA
・スカイマーク:SKY
・エア・ドゥ:ADO
・ソラシドエア:SNJ
・スターフライヤー:SFJ
・ピーチ・アビエーション:APJ
・ジェットスター・ジャパン:JJP
・スプリング・ジャパン:SJO
* 客席数が100または最大離陸重量が5万kgを超える航空機を使用して行う航空運送事業を経営する日本国内の航空運送事業者
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国土交通省
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