エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2024年10月11日 14:29 JST

ZIPAIR西田社長、787新造機受領「期待しながら待つ」787-9は「要望していく」

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 ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)の西田真吾社長は10月10日、2025年度に予定しているボーイング787型機の新造機受領について、現時点でボーイングから納入遅延に関する連絡は入っておらず、予定通りの受領に期待感を示した。ボーイングは最大労組が16年ぶりにストライキを実施しており、航空会社などへの納入遅延が懸念されている。

ZIPAIR初の新造機となった787-8 JA850J=23年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
「期待しながら待つ」
初期受領機「ヒューストン支障ない」
787-9でフルフラット拡大か

「期待しながら待つ」

 ZIPAIRは、コロナ影響下の2020年6月3日に乗客を乗せない貨物専用便として成田-バンコク(スワンナプーム)線を開設し、同年10月16日の成田-ソウル(仁川)線から旅客扱いを始めた。機材は787-8のみで、座席数は2クラス290席。現在は8機で、うち2機が新造機で、残り6機はJALが初期導入した機体を使用している。2025年度に10機体制を計画しており、9号機と10号機はJALが新造機をボーイングから購入し、ZIPAIRへリースする。

成田-ヒューストン線開設を発表するZIPAIRの西田真吾社長=24年10月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 西田社長は、現在の事業計画について「2025年度受領で動いていない」とし、2機増える前提ではないと述べた。

 「生産レートが落ちているのではとか、デリバリーが遅れつつあるのでは、ということは報道ベースの情報で気にしているが、明確に遅れるという連絡をもらったわけではないので、期待しながら待つ状況だ」(西田社長)と応じた。

初期受領機「ヒューストン支障ない」

 また、JALから移管された787の初期製造機は、ボーイングが製造開始当初、設計重量超過に悩まされた時期の機体も含まれている。西田社長は「初期受領機は現在の仕様と多少異なるところはあるが、ヒューストンの運航に制約はない」と語った。

ZIPAIR初号機となったJA822Jはサンノゼなど北米路線にも投入されている=23年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボーイングが民間機の製造管理に使用している「Line Number(LN、ラインナンバー)」で、787はLN7から22までは設計重量超過が何らかの形で生じており、LN23から33は重量が超過しているものの、発注した航空会社が許容できるレベル、LN34から89までは重量軽減が進み、LN90以降はカタログスペックを達成したと言われている。

 ZIPAIRの初号機(JALの2号機)のJA822JはLN23、2号機(JALの初号機)のJA825JはLN33で、就航後に初受領した3号機のJA824JがLN27、4号機のJA826JがLN37、6号機のJA827JがLN38、8号機のJA828JがLN70。5号機(JA850J、LN1140)と7号機(JA851J、LN1154)は新造機となる。

787-9でフルフラット拡大か

 また、JALが今年7月に正式発注した最大20機の787-9については、3月に機材計画を発表した際、JALの赤坂祐二会長(当時社長)がAviation Wireの取材に対し、ZIPAIRにも787-9の導入を検討していることを明らかにした。


【動画】ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも

 西田社長によると、大半の便の予約率が9割を超えているといい、特にフルフラットシートの「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」は18席全席が満席になる便が多く、787-9導入で提供座席数の拡大が期待されている。

 2025年3月4日に開設する成田-ヒューストン線は、ZIPAIRが初めて1路線に1日2機投入する「往復24時間超え」の路線で、機材大型化など次の成長に向けた決定が具体化する時期が近づいている。

 西田社長は「787は旅客も貨物も多く運べ、非常にいい飛行機。今後も787という軸は動かさずにやっていく。787-9は当社だけでは決められないので、JALグループの機材計画の中で要望を挙げていく」と応じた。

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機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも

写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ