エアライン, 機体 — 2024年10月8日 22:47 JST

JAL出資の米ブーム、超音速実証機XB-1が5回目の飛行試験成功

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 超音速旅客機「オーバーチュア(Overture)」を開発中の米ブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic、本社デンバー)は現地時間10月7日、年末までに超音速飛行を目指す技術実証機「XB-1」(登録記号N990XB)の5回目となる飛行試験に成功した。超音速に達するまでに10回の亜音速飛行を予定しており、折り返し地点に到達した。

5回目の飛行試験に成功したブームの超音速実証機XB-1(同社提供)

 5回目の飛行試験は、これまでと同じカリフォルニア州のモハベ(モハーヴェ)空港・宇宙港で行われ、チーフテストパイロットのトリスタン“ジェペット”ブランデンブルグ氏が操縦桿を握った。今回初めて着陸装置を離陸直後に格納し、実際のフライトの状態に近づいた。今後の飛行試験では標準的な手順になる。

 最高速度はマッハ0.69(約845キロ)、高度は1万7800フィート(約5425メートル)に達し、総飛行時間は約50分で、これまでの最速、最高高度、最長飛行を記録。操縦性などを確認した。

 前回使用したFES(フラッター励振システム)が修理され、再設置された。FESは現段階の飛行試験で重要なシステムで、超音速までの飛行限界を明らかにするために広範囲に使用される予定だという。

5回目の飛行試験に成功したブームの超音速実証機XB-1(同社の動画から)

 実証機のXB-1は2人乗りで、主翼の形状はデルタ翼を採用し、エンジンは既存のGE製J85-15が3基。アフターバーナーを使ってマッハ2.2(時速換算2335キロ)の実現を目指す。ブームは、XB-1で超音速飛行の技術を検証し、同社初の超音速旅客機であるオーバーチュアの開発につなげる。

 オーバーチュアはエンジンが4基となり、アフターバーナーを使わずに現在の民間航空機の2倍となる速度を実現し、マイアミからロンドンまで5時間弱、ロサンゼルスからホノルルまで3時間で結ぶ。

 ブームには日本航空(JAL/JL、9201)も出資しており、実際に量産するオーバーチュアは、ユナイテッド航空(UAL/UA)などが発注している。

22年のファンボロー航空ショーでお披露目された超音速機オーバーチュアの模型=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
Boom Supersonic

これまでの飛行試験
超音速実証機XB-1、4回目の飛行試験でマッハ0.6到達 JAL出資の米ブーム(24年9月22日)
超音速実証機XB-1、3回目の飛行試験成功 JAL出資米ブームが開発(24年9月17日)
JAL出資ベンチャー米ブーム、超音速実証機XB-1初飛行 ”飛行機の墓場”モハベから新たな歴史(24年3月23日)

解説・JALも出資オーバーチュアの今
前編 アフターバーナーなし4発で超音速
後編 大統領専用機の座も狙う超音速機

ユナイテッド航空とアメリカン航空が発注
超音速機ブーム、アメリカン航空が最大20機発注へ 洋上でマッハ1.7(22年8月16日)
ユナイテッド航空、超音速旅客機を15機発注 東京-西海岸6時間、29年にBoom社Overture就航(21年6月3日)

Overtureの解説記事
アフターバーナーなしでマッハ1.7 解説・Boomの超音速機オーバーチュア(21年6月4日)

グリーンズボロで生産
ブーム、グリーンズボロに超音速機オーバーチュア製造施設 24年生産開始(22年1月27日)

本邦初!CEO独占インタビュー。Boomのオフィス写真も。
超音速機ベンチャーBoom、実証機XB-1を19年末ロールアウトへ 西海岸まで5.5時間(19年5月20日)

Boom
米ブーム、防衛向け超音速機の諮問委員会 アフターバーナーなし4発機(23年9月16日)
Boom、超音速実証機XB-1ロールアウト 25年実用化へ(20年10月8日)
Boom、超音速実証機XB-1を10月ロールアウト 21年初飛行へ(20年7月14日)
運賃はビジネスクラス+α 超音速機ベンチャーBoom、JALもサポート(19年6月27日)
JAL、超音速機開発で米社と提携 20年代の実現目指す(17年12月6日)