ボーイングは、ロンドン近郊で現地時間7月22日から開かれるファンボロー航空ショーに、開発中の大型機777Xや、小型機737 MAXのうち胴体長が最長の737-10(737 MAX 10)の飛行試験機は持ち込まず、F-15QA戦闘機など防衛部門を中心とした展示になることを正式発表した。民間機の実機はカタール航空(QTR/QR)の787-9にとどまる。
今回出展するのは、X-66サステイナブル・フライト・デモンストレーターなど環境負荷軽減につながる技術実証分野と、F-15戦闘機の発展型である最新複座戦闘機F-15EX「イーグルII」にもっとも近い仕様のカタール空軍が運用するF-15QAなど防衛分野で、民間航空機は貨物機のポートフォリオや、777Xの客室モックアップなどにとどまる。
カタール航空の787-9は地上展示のみ。飛行展示はF-15QAのみにとどまるとみられ、2種類の異なる構成で実施するという。
ボーイングは、737 MAXや787の度重なる品質問題に対し、FAA(米国連邦航空局)などから抜本的な対応を迫られている。今年2月に開かれた、ファンボローと同じく偶数年開催のシンガポール航空ショーも、民間機の試験機出展は見送り、防衛部門中心としていた。今回の出展内容は、6月下旬に米国で開いた在米メディア向け説明会で示していた(関連記事)。
ファンボロー航空ショーは、奇数年6月開催のパリ航空ショーに次ぐ世界規模の航空見本市で、偶数年7月開催。新型コロナの影響で2020年はオンライン開催、前回2022年はコロナ後初の現地開催となったものの、例年と比べて現地出展する企業が少ない印象だった。防衛と民間航空機をはじめ、近年は日本で「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)関連の出展が目立つ。
2022年のファンボローでは、ボーイングは2機種の飛行試験機を出展。777Xの旅客型777-9と海外初公開となった737-10で、2機種とも飛行展示で戦闘機のような「ハイレートクライム」などを披露し、777-9は目玉の新機能である翼端を地上で折りたたむ機能もアピールしていた。主翼が777よりも長くなったことから採用されたもので、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにした。
昨年2023年に開かれたパリ航空ショーでも、777-9と737-10が飛行展示を披露していた。
関連リンク
Farnborough International Airshow
Boeing
ボーイング・ジャパン
前回2022年ファンボロー航空ショーのボーイング展示
・777X、急上昇・急旋回させダイナミックな飛行展示披露=ファンボロー航空ショー
・777X、試験機の機内公開 ANAも発注=ファンボロー航空ショー
昨年2023年パリ航空ショーのボーイング展示
・最大の737MAX「737-10」はTC取得が焦点 写真特集・パリ航空ショー2023(3)
・777Xコックピットは大型画面並ぶ 写真特集・パリ航空ショー2023(1)