ボーイングは現地時間7月1日、過去に分社化したサプライヤーの米スピリット・エアロシステムズを買収すると発表した。スピリットは737 MAXの胴体製造などを請け負っており、同社を再び傘下に収めて再統合することで、品質の改善や、今年1月に米ポートランドで起きたアラスカ航空(ASA/AS)が運航するボーイング737-9(737 MAX 9、登録記号N704AL)のドアプラグ脱落事故など、大きく揺らいでいる信頼回復につなげる。
株式価値は約47億ドル(約7598億円)で、全額を株式交換方式(1株あたり37.25ドル)で取得。スピリットの普通株式1株を、ボーイングの普通株式0.18-0.25株と交換する。取引総額はスピリットの直近の純負債を含め約83億ドルとなり、2025年半ばの取引完了を計画している。
スピリットは、737 MAXの胴体やスラストリバーサー、スラット、フラップを製造するほか、構造部位の修理なども請け負っている。以前はボーイングの一部だったが、2005年に分離して新会社「スピリット・エアロシステムズ」を設立した。新会社設立後はボーイングのほか、エアバスなどとの取引も開始。エアバスA220型機やA320、A350のプログラムも請け負っている。
今回の買収により、ボーイング傘下に戻ることになるため、エアバスの事業は売却を進める。
ボーイングのデビッド・カルフーン社長兼CEO(最高経営責任者)は「スピリットの再統合により、安全性と品質を中心に据えることができる」とコメントした。
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ボーイング・ジャパン
Spirit AeroSystems
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