12月20日、台北(桃園)-成田間にLCC(低コスト航空会社)のバニラエア(VNL)が就航した。台湾では「香草航空」だ。日本への旅行や出張が盛んな台湾国内においても、フェイスブックなどで就航のニュースが瞬く間に広がり、特に就航を記念して販売された特別運賃(片道388元、約1300円)の「わくわくバニラ」には非常に注目を集めた。
台北駐在の記者は、幸運にも最安値の航空券を購入することができたので、台北発初便となるJW104便に乗ってみた。
電光掲示板は「エアアジア・ジャパン」
出発約2時間前の午後3時50分ごろ。台北桃園国際空港第1ターミナルの1番カウンターでは、すでに提携先のエバー航空(EVA)の係員がチェックインの準備に追われていた。慌ただしい中でも、係員がVNLの看板の前で記念写真を撮ったり、VNLの日本人社員がカウンターの端で待機するなど、初便らしい雰囲気も感じられた。
空港の電光掲示板を見ると、VNLの初便JW104便を知らせるロゴがエアアジア・ジャパンのままになっているのを発見。なんとも初便らしいトラブルだが、現在は修正されたようだ。
チェックインを終え、搭乗口へ早めに向かうと、初便を祝う花が飾られており、VNLの社員らが準備に追われていた。スポットを見ると消防車が4台待機しており、歓迎の意を表す到着時の放水アーチの準備を進めていた。
消防車の放水アーチをくぐり抜け、成田発台北行きJW103便は定刻の午後5時5分より8分遅れの午後5時13分に到着。折り返しとなる成田行きJW104便の出発準備が始まった。
副社長も機内販売
搭乗ゲート付近では、VNLの五島勝也副社長が中国語であいさつ。「ニーハオ(こんにちは)」のような簡単なものだけではなく、現地の言葉を使ってあいさつする五島副社長に、現地の人も親近感を抱いたようだった。
搭乗時には、記念としてVNL特製トートバッグ、初便搭乗証明書、機内でも販売されている「THE BODY SHOP」のシャワージェルとボディクリーナーのセット(このセットは通常は機内販売されていない)、成田ゆめ牧場のペア無料入場券などが乗客一人ひとりに五島副社長から手渡された。
JW104便は定刻より14分遅れの午後6時4分に出発した。機内ではドアクローズ後、男性チーフパーサーが機内アナウンスを担当。「ご搭乗ありがとうございます。本日の機長はサカモト。私は客室を担当致します木村拓哉……、だったら良かったのですが、タケウチでございます」と機内を和ませた。
その後も各客室乗務員の出身地や、好きなスポーツなども交えた愉快なアナウンスが流れ、中国語のアナウンスの際には拍手が起こっていた。これもリゾートを意識した、和やかな機内の雰囲気づくりの一環なのだろう。
その後も非常口の案内など真面目な部分は真面目に、機内販売品を勧める時には「いつ買うの? 今でしょう」と、客室乗務員たちは機内をわかせていた。
台北発初便のこの便には、五島副社長も搭乗。チーフパーサーから「本日は弊社の副社長も搭乗しております。副社長とはいえ、一緒に働く仲間であります。彼にも現場を知ってもらうため、ぜひ機内販売を手伝っていただきたいと思います」とアナウンスが入り、副社長による機内販売が始まった。
先ほどまでのスーツ姿とは打って変わり、VNLの水色のジャケットを羽織った五島副社長が、機内でにこやかに機内販売する姿はVNLの社風を表しているように感じられた。
約3時間のフライトは楽しく、あっという間だった。成田には定刻より7分早い午後9時53分、オープンスポットに到着した。LCCらしくタラップから降りて、バスでターミナルへ向かった。ターミナルでは、VNLの石井知祥社長が初便の乗客を出迎えた。
現在VNLの台北線は1日1往復だが、2014年1月29日からは1日2往復に増便となる予定。台湾と日本を行き来する機会の多い現地駐在の記者としては、新しい選択肢が増えることは非常に嬉しいことだ。
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