ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANA総合研究所は、夏ダイヤ(3月31日から10月26日)期間中の日本着国際線の提供座席数をまとめた。期間中に計画する提供座席数は3898万席で、2023年夏ダイヤの実績比では43%増、コロナ前の2019年実績比では2.9%増となる見通し。航空会社別では全日本空輸(ANA/NH)が首位で334万席(構成比8.6%)、2位は日本航空(JAL/JL、9201)の294万席(7.6%)、3位はキャセイパシフィック航空(CPA/CX)の138万席(3.6%)となる。地域別ではソウルなどが大きく伸ばし、ホノルルはコロナ前を下回る見通し。
データ算出には、コンピューター予約システムに登録された4月10日時点の提供座席数を用いた。また航空業界では輸送力を示す単位として、座席数と距離を掛け合わせた座席キロ(ASK)を用いるが、ANA総研のリポートでは訪日客に対応する輸送力分析のため座席数を用いている。このほかFSC(フルサービス航空会社)とLCC(低コスト航空会社)の種別は、コンピューター予約システムの区分により振り分けた。
—記事の概要—
・海外発地域別
・国内就航地別
・フルサービスとLCC別
海外発地域別
海外発の地域別では、南北アメリカ大陸とハワイなどの「TC1」が416万席(19年同期比5.8%増)で構成比が10.7%、欧州や中東・アフリカなどの「TC2」は259万席(6.9%減)で構成比6.6%、アジア・オセアニアなどの「TC3」は3222万席(3.5%増)で構成比82.7%となる。米大陸方面やアジア・オセアニアはコロナ前を上回る一方、欧州方面はコロナ前を下回る。
地域別でみると、23空港あるTC1のうち提供座席数が増加するのは14空港(65万5000席増)で、サンフランシスコ(13万1000席増)、ロサンゼルス(11万6000席増)、ニューヨーク(11万2000席増)の順で多い。減少するのは9空港(42万6000席減)で、ホノルル(20万2000席減)、コナ(6万3000席減)、ポートランド(4万2000席減)の順で減少する。
25空港あるT2のうち提供座席数が増加するのは11空港(39万1000席増)で、イスタンブール(15万5000席増)、アブダビ(7万3000席増)、ドーハ(6万席増)の順で多い。減少するのは14空港(58万1000席減)で、モスクワ(12万3000席減)、ヘルシンキ(9万7000席減)、アムステルダム(8万5000席減)の順で減少する。
96空港あるT3のうち提供座席数が増加するのは34空港(441万7000席増)で、ソウル(185万6000席増)、台北(84万9000席増)、上海(31万4000席増)の順で多い。減少するのは62空港(334万2000席減)で、バンコク(61万2000席減)、大邱(テグ、32万3000席減)、天津(18万6000席減)の順で減少する。
国内就航地別
34空港ある日本国内の就航地別では、全体の77%を占める上位3空港のうち、成田が1190万席(19年同期比6.7%減)で最多で、関西が927万席(1.7%増)、羽田が898万席(41.8%増)と続く。3空港のうち成田はコロナ前を下回り、関空と羽田は上回る見通し。那覇や新千歳、中部、仙台など残り31空港は881万席で、コロナ前の8.7%減となる。
上位3空港を路線別でみると、成田はソウル(71万4000席増)、台北(35万5000席増)、上海(15万4000席増)などでコロナ前超えとなり、バンコク(26万席減)、ホノルル(21万9000席減)、シカゴ(13万9000席減)などでコロナ前を下回る見込み。
関空はソウル(63万9000席増)、台北(16万0000席増)、上海(11万5000席増)などでコロナ前超えとなり、ホノルル(12万5000席減)、天津(12万3000席減)、大連(13万9000席減)などでコロナ前を下回る見込み。
羽田はロサンゼルス(23万1000席増)、ニューヨーク(22万席増)、ホノルル(20万2000席増)などでコロナ前超えとなり、ハノイ(5万席減)、ウィーン(3万6000席減)、バンコク(2万8000席減)などでコロナ前を下回る見込み。
フルサービスとLCC別
フルサービス航空会社とLCC別では、フルサービスが66社2694万席となり、2019年同期比1.9%減で、コロナ前の水準をほぼ回復。LCCは33社1203万席で、コロナ前を15.7%上回る見通し。構成比率はフルサービスが69.1%、LCCが30.9%となり、コロナ前と比較するとフルサービスが3.4ポイント低下、LCCが3.4ポイント上昇する。
路線別でみると、フルサービスはスターラックス航空(星宇航空、SJX/JX)やエバー航空(EVA/BR)など7社が運航する台北線、アシアナ航空(AAR/OZ)やエアージャパン(AJX/NQ)など7社のソウル線、ターキッシュエアラインズ(THY/TK)のイスタンブール線などで増加。一方、ANAやキャセイなど4社が運航する香港線、中国南方航空(CSN/CZ)や中国東方航空(CES/MU)、ANAなど4社の大連線、タイ国際航空(THA/TG)やANA、JALなど4社のバンコク線が減少となる。
LCCでは、ジンエアー(JNA/LJ)やエアプサン(ABL/BX)、チェジュ航空(JJA/7C)など9社が運航するソウル線、香港エクスプレス航空(HKE/UO)とグレーターベイエアラインズ(HGB/HB)、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)の3社による香港線、エアアジア・フィリピン(APG/Z2)やセブパシフィック航空(CEB/5J)、ジェットスター・アジア航空(JSA/3K)など5社のマニラ線などで増加。タイ・ライオン・エア(TLM/SL)やタイ・エアアジアX(TAX/XJ)など5社のバンコク線、エアプサンやティーウェイ航空(TWB/TW)、チェジュ航空の大邱線が減少となる。
関連リンク
ANA総合研究所
・中部空港、中国本土路線が復便傾向 国際線は週275往復に=夏ダイヤ計画(24年4月3日)
・関空国際線、フルサービスが半数超え 中国路線も回復進む=24年夏ダイヤ計画(24年3月28日)
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