エアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」の3号機(登録記号F-GSTC)が2月21日、神戸空港へ到着した。同型機の日本への飛来は4回目で、神戸には2023年5月以来9カ月ぶり3度目の飛来となった。
ベルーガは、現地時間2月14日に拠点とする仏トゥールーズからエアバス・ヘリコプターズの工場がある仏マルセイユへ移動。16日にマルセイユを出発し、エジプトのカイロ、アラブ首長国連邦のドバイ、インドのハイデラバード、タイのラヨーン、ベトナムのダナンを経て、6都市目となる最終経由地の台北を21日午前5時すぎに出発した。神戸空港の滑走路(RWY09)へ午前9時9分ごろ着陸し、同14分ごろ到着した。
神戸にはエアバス・ヘリコプターズの格納庫などの施設があり、同社製ヘリが積荷とみられる。
日本への初飛来は1999年で、ドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」をパリから成田へ輸送。2回目は神戸に初飛来した2021年12月25日で22年ぶりとなり、警察庁が発注した大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」を1機運んだ。3回目は2023年5月10日で海上保安庁のH225を2機輸送した。
これまで神戸に飛来した際は、関西空港で積荷の通関手続き後の到着だったが、今回は関空を経由せず神戸入りした。3号機は神戸初飛来となった2021年と同じ機体で、前回2023年は2号機(F-GSTB)が使用された。
ベルーガはシロイルカを意味する愛称で、ユーモラスな外観のベルーガSTは中型旅客機A300-600Rをベースにしており、1996年1月に就航。エンジンは米GE製CF6-80C2を搭載している。
欧州各地で製造されるA350をはじめとするエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ特殊な輸送機で、主翼のように長尺の積荷も運ぶため、イルカが口を開けるように機体前方が大きく開く。貨物室は高さ7.1メートル、幅6.7メートル、長さ39メートルで、最大40トンの積荷を運べる。
就航から20年以上が経過し、2020年1月9日には後継機となるA330-200F貨物機がベースの「ベルーガXL(Beluga XL)」が就航。余剰のベルーガSTがヘリコプターや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに輸送できることから、エアバスは特大貨物輸送サービスの新事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表した。
関連リンク
BelugaST (Airbus)
Airbus
Airbus Helicopters
2度目の神戸
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・シロイルカからピューマ現る エアバスのベルーガ、神戸へ海保大型ヘリ輸送(23年5月10日)
・神戸にエアバス「ベルーガ」到着 シロイルカ2度目の大型ヘリ輸送(23年5月10日)
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ベルーガSTで特大貨物輸送
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神戸に初飛来
・22年ぶり飛来の大型輸送機「ベルーガ」神戸から離日 大型ヘリ運ぶ(21年12月25日)