国土交通省航空局(JCAB)は、米国で滑走路の無許可横断などのトラブルが続いた日本航空(JAL/JL、9201)に対し、抜き打ちで実施する「随時監査」を2月13日に実施した。羽田空港にある運航本部で、関係者に対する聞き取りなどを行った。
国交省によると、JALでは米国の空港でトラブルが2件あり、現地時間2023年11月5日にシアトル・タコマ国際空港、今月6日にサンディエゴ国際空港で発生。いずれもJALから国交省へ報告があった。
今回のようなトラブルは国内外の空港合わせて「全体で年間数件程度ある」(航空局)といい、定期監査に加えて報告内容に応じた随時監査を実施しているという。
—記事の概要—
・シアトル
・サンディエゴ
シアトル
1件目は11月5日午前9時39分すぎに、成田発シアトル行きJL68便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA619J)がシアトル空港に3本ある滑走路のうち、ターミナルからもっとも離れた滑走路(RWY16R)へ着陸後、管制官の許可を得ずに中央の滑走路(RWY16C)を横断し、ターミナル側の滑走路(RWY16L)の手前まで地上走行した。
航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、シアトル行きJL68便は午前9時39分ごろ滑走路16Rへ着陸後、40分に誘導路Pへ入り、41分に滑走路16Cを横断。42分に滑走路16L手前で停止し、48分に滑走路16Lを横断して50分ごろS9スポット(駐機場)へ入った。
読売新聞の報道によると、管制官は滑走路16C手前での待機を指示したが、JL68便は滑走路16L手前で待機すると復唱。管制官からは訂正されず、滑走路16Cを横断して滑走路16L手前まで走行した。当紙がJALに事実関係を確認したところ、管制官から誤認との指摘はなかったという。
サンディエゴ
2件目は、サンディエゴ空港で2月6日午後0時12分ごろ発生。定刻でサンディエゴを午前11時40分に出発する成田行きJL65便(787-8、JA836J)が誘導路B10にある停止線を越え、滑走路(RWY9)の手前で停止し、着陸態勢に入っていたデルタ航空(DAL/DL)のシアトル(タコマ)発サンディエゴ行きDL2287便(エアバスA220-300型機、登録記号N301DU)がゴーアラウンド(着陸復行)を実施した。同空港の滑走路は1本(RWY9/27)のみ。
DL2287便は、午後0時12分すぎに空港から西へ5キロほど離れた地点で高度700フィート(約213メートル)からゴーアラウンドし、滑走路上空を通過後、右旋回して空港南側を飛行し、午後0時29分すぎに滑走路9へ着陸した。
JL65便は、DL2287便が空港上空を通過した後、午後0時13分に滑走路へ一度出てターミナル前の誘導路へ入り、滑走路を横断して空港北側の誘導路を走行。空港の東端で待機し、当初の離陸予定時刻から約1時間後の午後1時14分ごろ滑走路27から離陸した。
国交省では、JALがどのようにトラブルを分析し、再発防止策を講じるかなどを監督していくという。
関連リンク
国土交通省
日本航空
Flightradar24
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