FAA(米国連邦航空局)は現地時間1月12日(日本時間同日夜)、アラスカ航空(ASA/AS)が運航するボーイング737 MAX 9(737-9、登録記号N704AL)のドアプラグが離陸直後に脱落した事故を受け、ボーイングの生産・製造に対する監視を強化する重要措置を発表した。737 MAX 9の製造ラインやサプライヤーを対象に監視し、ボーイングへの権限移譲と品質管理の安全リスク評価などを進めていく。
FAAは前日11日に、ボーイングに対して調査を実施すると通告。事故後初の立入調査となった。日本時間13日には、運航再開に向けた検査や整備プロセスの承認に向け、ボーイングに追加データを提出するよう求めた。
FAAによると、ボーイングが提案した点検整備要領書を検討した結果、FAAが承認する前に追加データが必要であると判断し、40機のプラグドア検査を要求した。事故機では、航空会社の仕様により非常口ドアとして使用されるドアプラグが離陸直後に脱落し、機内で急減圧が起きた。アラスカ機の場合、外から見るとドアプラグを確認できるが、客室からは通常の壁と同じように見える。
FAAのマイケル・ウィテカー長官は「ボーイング737-9 MAXが安全であると我々が完全に納得するまで、空に戻ることはない」との声明を発表。「737-9の運航停止やここ数年で確認された製造関連の複数の問題から、リスクを軽減するためにあらゆる選択肢を検討する必要がある」(ウィテカー長官)として、FAAは、ボーイングの検査と品質システムを監督する独立した第三者機関の立ち上げを検討している。
また、FAAは737 MAX 9の運航再開時期について「スケジュールを決定するのはスピードではなく、市民の安全だ」との方針を示している。
事故は現地時間5日に、米オレゴン州のポートランド国際空港で発生。アラスカ航空のオンタリオ行きAS1282便が離陸直後、後方左側のドアプラグが脱落した。乗客171人と乗員6人の計177人はポートランドへ無事戻り、重症者はなかった。事故を調査しているNTSB(米国家運輸安全委員会)は会見で、乗客が客室乗務員の指示を守り、シートベルトを着用していたことが奏功したと指摘している。
FAAは、翌6日に約171機の737 MAX 9に対し、運航停止を命令。8日に緊急耐空性改善命令(EAD:Emergency Airworthiness Directive)を承認した。
日本国内では、同型機を運航している航空会社はなく、737 MAXを今後導入する社でも737 MAX 9を発注したところはない。
*写真は5枚。
関連リンク
Federal Aviation Administration
National Transportation Safety Board
Boeing
ボーイング・ジャパン
Alaska Airlines
・737MAXドアプラグ脱落、FAAが緊急耐空性改善命令 ユナイテッド機もボルト緩み(24年1月9日)
・FAA、同一仕様737MAXの運航停止 アラスカ機事故でEAD発行へ(24年1月7日)
・アラスカ航空の737MAX、離陸直後に非常ドア脱落 AS1282便、ポートランド引返(24年1月6日)