国土交通省は1月7日、海上保安庁機と日本航空(JAL/JL、9201)機の衝突事故により2日から閉鎖が続く羽田空港のC滑走路(RWY16L/34R)を、8日午前0時から再開すると発表した。海保機とJAL機の撤去は完了済みで、C滑走路の処理容量は北風と南風両運用ともに事故前の水準に回復する。
南風運用時は、事故によりPAPI(進入角指示灯)が損傷を受けたため、都心上空を飛行するルートで運用。通常は南風運用の悪天候時に午後3時から午後7時まで使用するルートを使う。1カ月以内にはPAPIを復旧できる見通し。国交省航空局(JCAB)によると、C滑走路のILS(計器着陸装置)は事故による損傷を受けておらず、JAL機の撤去が完了したことから通常通り運用できるという。北風運用も通常通りとなる。
JCABによると、事故発生の2日から7日午後4時までの時点で、航空各社合わせ1453便が欠航。2日が299便、3日が279便、4日が232便、5日が217便、6日が215便、7日が午後4時時点で211便が欠航となった。
C滑走路の再開初便は、運用状況などにより常に使用滑走路が変化しているため、わからないという。
JALによると、機体の撤去作業は7日午後4時15分に完了したという。JCABによると、事故により損傷したC滑走路の舗装を打ち返したり、機体によってえぐられた芝地の一部を埋め戻して整地したという。
事故は2日午後5時47分ごろ、海保機MA722(ボンバルディアDHC-8-Q300、登録記号JA722A)とJALのエアバスA350-900型機(札幌発羽田行きJL516便、JA13XJ)がC滑走路で衝突し炎上。海保機は乗員6人のうち機長を除く5人が亡くなった。
JL516便は乗客367人(幼児8人含む)と乗員12人(パイロット3人、客室乗務員9人)の計379人が搭乗していたが、全員が3カ所の出口から緊急脱出した。左右4カ所ずつ計8カ所あるドアのうち、前方2カ所(L1・R1)、後方1カ所(L4)を使って脱出した。残り5カ所は炎が見えるなどの理由で、客室乗務員が使用不可と判断した。乗客のうち2人が打撲などのけが、体調不良により病院で診察を受けた乗客が13人となった。
JL516便は貨物と郵便は積んでいなかったものの、乗客の手荷物が約200個、空調がきく貨物室でのペットの預かりが2件あり、ペットの救出には至らなかった。
8日のC滑走路運用再開後、全日本空輸(ANA/NH)は羽田-能登線を除き通常通り全便運航を予定。JALは8日に国内線14便、9日も9便の欠航を決定済みで、2日間の影響者数は約4580人となっている。
JALは、2日の事故により国内線機材であるA350-900(3クラス369席または同391席)が1機減の15機となり、羽田-伊丹線などへの影響が見込まれる。欠航便の内訳は、8日は羽田-伊丹線が10便でもっとも多く、9日も同路線がもっとも影響を受け8便となる。夜間駐機ができない影響による早朝の欠航便を除くと、他社便や東海道新幹線などの代替手段を確保しやすい同路線を選択したとみられる。
*写真は5枚。
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