日英伊3カ国が共同開発する次期戦闘機について、防衛省は2024年度予算案で開発費など総額914億円を計上した。今年8月の概算要求からは4億円増えた。
次期戦闘機は、日本では航空自衛隊が運用しているF-2戦闘機の後継機となり、2035年までの開発・配備を目指す。予算案では、開発費に640億円、次期戦闘機と連携する無人機の研究などに48億円、次期戦闘機の共同開発機関への拠出金に42億円、次期中距離空対空誘導弾の開発に184億円を充てた。概算要求からは、開発費が3億円増、無人機関連が1億円減、拠出金が2億円増、誘導弾開発は据え置きとなった。
次期戦闘機の開発では、2024年度は基本設計と搭載するエンジンの詳細設計などを実施。米国と共同開発する無人機については、実現に必要なAI(人工知能)技術の日米共同研究などを進めていく。拠出金は、日英伊3カ国で設立予定の国際機関に運営資金を拠出する。
日本が米国以外の国と戦闘機などの防衛装備品を共同開発するのは初めて。英国とイタリアは、英独伊西の欧州4カ国が共同開発した戦闘機「ユーロファイター」の後継機として、2035年の就役を目指す次世代戦闘機「テンペスト」の開発を進めており、2022年12月に3カ国による共同開発を発表後は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)」となった。
各国で開発主体となる企業は、機体が三菱重工業(7011)と英BAEシステムズ、伊レオナルド、エンジンはIHI(7013)と英ロールス・ロイス、伊アヴィオで、ミッションアビオニクスシステムは三菱電機(6503)と英国のレオナルドUK、レオナルドと伊エレットロニカが参画する。
次期戦闘機の動向
・日英伊の次期戦闘機、BAEと三菱重工、レオナルドが3社協定合意(23年9月12日)
・日英伊の次期戦闘機、英国防省が1千億円超え大規模投資 35年配備へ(23年4月15日)
・次期戦闘機、模型を防衛展示会に出展 幕張メッセDSEI Japan(23年3月17日)
・次期戦闘機、三菱電機がレオナルドなどと協業契約 アビオニクスを共同開発(23年3月16日)
共同開発発表
・次期戦闘機、日英伊3カ国共同開発 F-2後継35年配備へ、米とは無人機開発(22年12月9日)
・IHI、次期戦闘機のエンジン参画 日英伊が共同開発(22年12月10日)
テンペスト
・英次世代戦闘機テンペスト、前部胴体を公開 日本も参画、5年以内に初飛行=ファンボロー航空ショー(22年7月21日)
・英BAE、日本に子会社設立 防衛省と関係強化(22年4月6日)
・日本の次期戦闘機、英BAEが開発支援提案(20年11月4日)
・英BAE、次世代戦闘機テンペストの風洞実験 3Dプリンターで模型作成(20年8月31日)
・BAE、英次世代戦闘機テンペスト向け新工場(20年7月14日)