ノースロップ・グラマンが開発した米空軍のステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」が、最初の引き渡しから12月17日で30周年を迎えた。当初は132機を導入する計画だったが、製造コストの高騰や運用コストがかかることから、「世界一高価な航空機」の納入は21機で打ち切られた。
B-2は主翼と胴体が一体化し、垂直尾翼や水平尾翼がない全翼機。最初の機体はカリフォルニア州パームデールにある米空軍施設「プラント42」で1988年11月22日にロールアウトし、1989年7月17日に初飛行。プロトタイプが6機製造された後、15機が製造された。1993年12月17日にミズーリ州にあるホワイトマン空軍基地に最初の機体となる8号機「Spirit of Missouri」(88-0329)が引き渡された。その後、初期運用能力を1997年4月に獲得している。
翼幅172フィート(52.12メートル)、全長69フィート(20.9メートル)、全高17フィート(5.1メートル)で、最大離陸重量は33万6500ポンド(15万2634キログラム)、燃料容量は16万7000ポンド(7万5750キログラム)、ペイロードは4万ポンド(1万8144キログラム)で、高度は5万フィート(1万5240メートル)まで上昇でき、無給油での航続距離は約6000海里(9600キロメートル)となる。
2008年2月23日には、グアムのアンダーセン空軍基地からホワイトマン基地へ向かっていた12号機「Spirit of Kansas」(89-0127)が離陸直後に滑走路へ墜落。乗員2人は脱出に成功したが、機体は炎上してスクラップになった。B-2にとって最初の運用中の損失で、その後も火災などが発生したものの全損には至っていない。
2022年12月2日には、後継となるB-21「レイダー」がロールアウトし、今年11月10日に初飛行に成功。B-2と同じ全翼機で、米空軍の爆撃機B-1とB-2を徐々に置き換え、B-52と併用する形で更新していく。
関連リンク
U.S. Air Force
Northrop Grumman
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