日本航空(JAL/JL、9201)の次期国際線フラッグシップとなるエアバスA350-1000型機の初号機(登録記号JA01WJ)が現地時間12月14日午後1時12分すぎ、機体の引き渡し場所となった仏トゥールーズを出発し、乗客を乗せないフェリーフライトのJL8102便として羽田空港へ向かった。離陸時には翼を左右に大きく振って旅立ちを祝った。定刻ベースで日本時間15日午前10時15分に到着する見通し。現行のボーイング777-300ER型機の後継となる国際線のフラッグシップ。羽田-ニューヨーク線が最初の投入路線で、19年ぶりに国際線の“顔”となる長距離路線の機材を刷新する。
トゥールーズを離陸するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
A350-1000は、2004年7月1日に就航したボーイング777-300ER型機の後継機。今年度(23年度)は3機導入し、3号機を受領後は2路線目の羽田-ダラス・フォートワース線に投入する。座席数は4クラス239席で、ファーストクラスが6席(1列1-1-1席)、ビジネスクラスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)となる。
ファーストとビジネスには、JAL初となるドア付き個室タイプのシートを導入。ファーストは座席上のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をすべてなくし、ビジネスは窓側のみとすることで開放感のある客室に仕上げた。客室仕様を手掛けたJAL商品・サービス開発部商品・サービス企画グループの西垣淳太プロジェクトマネジャーは「囲いを高くして、プライバシーを確保しました」と語った。
内装は2019年に就航した国内線機材のA350-900と同じく英タンジェリン(tangerine)社が監修。日本の伝統美を意識したデザインで、上質な客室を目指すとともに、訪日客の利用を意識し、国際線から国内線に乗り継いだ際に、連続性のある空間に仕上げた。
トゥールーズで報道関係者に初公開されたJALのA350-1000初号機の個室ファーストクラス=23年12月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズで報道関係者に初公開されたJALのA350-1000初号機の個室ビジネスクラス=23年12月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズで報道関係者に初公開されたJALのA350-1000初号機のプレミアムエコノミークラス=23年12月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズで報道関係者に初公開されたJALのA350-1000初号機のエコノミークラス=23年12月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ファーストのシートは、ソファ、シート&シングルベッド、ダブルベッドの3つのモードを選択可能。ビジネスのベッドポジションは、従来より10センチ長い長さ約198センチとした。プレエコは大型パーティションを設け、リクライニングをプレエコでは世界で初めて電動化した。
世界初となるヘッドフォン不要のヘッドレスト内蔵スピーカーをファーストとビジネスで採用。個人用モニターは全クラス4K対応で、ファーストは43インチ、24インチ、16インチ、13インチとなる。また、乗客自身のワイヤレスヘッドホンなどをBluetooth接続できる。
全クラスに電源コンセントとType-A/Cの充電用USB端子を設置。ファーストとビジネスは、スマートフォンなどのワイヤレス充電にも対応している。
トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを離陸するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JALは777の後継機として、10年前の2013年10月7日にA350を発注したと発表。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、ボーイングなど米国製と相場が決まっていたことから、欧州のエアバス機導入は日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。標準型のA350-900を18機、長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。国内線機材のA350-900は2019年9月1日に就航しており、16号機(JA16XJ)まで受領している。
A350-1000はは当初、11月下旬に就航予定だったが、サプライチェーンの乱れに伴う部品の納入遅れなどにより計画が見直しとなり、1月24日の就航となった。
航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、JL8102便の追跡者数は14日午後10時26分の時点で世界1位の4632人と注目を集めている。
*写真は21枚。
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トゥールーズにあるエアバスのデリバリーセンターで開かれたデリバリー式典でJALのA350-1000初号機の前で記念撮影に応じるJALのパイロットと客室乗務員=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズにあるエアバスのデリバリーセンターで出発を待つJALのA350-1000初号機=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズにあるエアバスのデリバリーセンターで開かれたJALのA350-1000初号機のデリバリー式典=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズにあるエアバスのデリバリーセンターで開かれたデリバリー式典で姿を表すJALのA350-1000初号機=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズにあるエアバスのデリバリーセンターで開かれたデリバリー式典であいさつするJAL欧州技術品質保証部の山中淳部長=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズにあるエアバスのデリバリーセンターで開かれたデリバリー式典でJALのA350-1000初号機の前で記念撮影に応じる関係者=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便のコックピットから手を振るパイロット=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便を見送るJAL社員=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを出発するJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを離陸し翼を振るJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを離陸し翼を振るJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
トゥールーズを離陸し翼を振るJALのA350-1000初号機フェリーフライト羽田行きJL8102便=23年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
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(1)ダブルベッドも可能な個室ファーストクラス
(2)個室内で完結する足もと広々ビジネスクラス
(3)後ろを気にせず電動リクライニングできるプレエコ
(4)4K13インチ画面エコノミーは快適さ追求
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