日本航空(JAL/JL、9201)は現地時間12月13日夕方(日本時間14日深夜)、新フラッグシップとなる長距離国際線機材エアバスA350-1000型機の初号機(登録記号JA01WJ)を、エアバスの最終組立工場がある仏トゥールーズで報道関係者に初公開した。2024年1月24日から1路線目の羽田-ニューヨーク線に投入する。
*フェリーフライト出発時の記事はこちら。
—記事の概要—
・ファーストクラスは天井広々
・95%がA350-900と共通
ファーストクラスは天井広々
A350-1000は、2004年7月1日に就航したボーイング777-300ER型機の後継機。今年度(23年度)は3機導入し、3号機を受領後は2路線目の羽田-ダラス・フォートワース線に投入する。座席数は4クラス239席で、ファーストクラスが6席(1列1-1-1席)、ビジネスクラスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)となる。
ファーストとビジネスには、JAL初となるドア付き個室タイプのシートを導入。ファーストは座席上のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をすべてなくし、ビジネスは窓側のみとすることで開放感のある客室に仕上げた。ファーストとビジネスともに囲いを高くし、個室感を高めている。
プレエコは大型パーティションによるプライバシー確保、エコノミーは現行機で評価が高い前後間隔の広さを継承した。
内装は2019年に就航した国内線機材のA350-900と同じく英タンジェリン(tangerine)社が監修。日本の伝統美を意識したデザインで、上質な客室を目指すとともに、訪日客の利用を意識し、国際線から国内線に乗り継いだ際に、連続性のある空間に仕上げた。
ファーストのシートは、ソファ、シート&シングルベッド、ダブルベッドの3つのモードを選択可能。ビジネスのベッドポジションは、従来より10センチ長い長さ約198センチとした。プレエコは大型パーティションを設け、リクライニングをプレエコでは世界で初めて電動化した。
世界初となるヘッドフォン不要のヘッドレスト内蔵スピーカーをファーストとビジネスで採用。個人用モニターは全クラス4K対応で、ファーストは43インチ、ビジネスは24インチ、プレエコは16インチ、エコノミーは13インチとなる。また、乗客自身のワイヤレスヘッドホンなどをBluetooth接続できる。
全クラスに電源コンセントとType-A/Cの充電用USB端子を設置。ファーストとビジネスは、スマートフォンなどのワイヤレス充電にも対応している。
シートメーカーはファーストとビジネスが英サフラン・シートGB、プレエコが仏サフラン・シート・フランス、エコノミーが独レカロを選定した。
95%がA350-900と共通
A350-1000は、2機種で構成するA350 XWBファミリーの長胴型。全長は73.79メートルで、標準型であるA350-900の66.8メートルより約7メートル長い。座席数はメーカー標準仕様で3クラス350-410席と、A350-900の300-350席より50-60席程度多く、航続距離は8700海里(1万6112キロ)、最大離陸重量は319トンとなる。
システムの95%がA350-900と共通で、タイプレーティング(機種別操縦資格)も共通なので、航空会社が需要や路線のニーズに合わせて2機種を使い分けやすい。
エンジンは英ロールス・ロイス製Trent XWB-97(トレントXWB-97)で、推力は9万7000ポンド。ロールス・ロイスによると、A350-900用のTrent XWB-84(推力8万4000ポンド)と比べ、新しい高温タービン技術やより大きなエンジンコア、ファンの空力特性の組み合わせで推力を増加させたという。機体の空力改善やエンジンにより、777やA340-600と比べて燃費や1座席あたりの運航コストを25%改善している。
メインランディングギア(主脚)は、A350-900は787などと同じ1脚あたり4輪だが、A350-1000は777と同じ6輪に増える。JALはA350-1000の独占タイヤサプライヤーとして、ミシュランを選定している。
JALは777の後継機として、10年前の2013年10月7日にA350を発注したと発表。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、ボーイングなど米国製と相場が決まっていたことから、欧州のエアバス機導入は日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。標準型のA350-900を18機、長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。国内線機材のA350-900は2019年9月1日に就航しており、16号機(JA16XJ)まで受領している。
JALは当初、A350-1000を11月下旬に就航させる計画だったが、サプライチェーンの乱れに伴う部品の納入遅れなどにより年内の就航を予定していた。今後は13機ある現行のボーイング777-300ER型機を更新していく。
*写真は28枚。
*フェリーフライト出発時の記事はこちら。
関連リンク
JAL国際線 AIRBUS A350-1000
日本航空
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(1)ダブルベッドも可能な個室ファーストクラス
(2)個室内で完結する足もと広々ビジネスクラス
(3)後ろを気にせず電動リクライニングできるプレエコ
(4)4K13インチ画面エコノミーは快適さ追求
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