全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は10月31日、国内線と国際線で運航するエアバスA320neoファミリー全33機が搭載する米プラット&ホイットニー(PW)製エンジン「PW1100G-JM」の点検作業の影響で、2024年1月から3月までに国内線・国際線合わせて22路線2412便、1日あたり約30便を減便すると発表した。
—記事の概要—
・国内20路線2267便・国際2路線145便
・国内線最多は2月
国内20路線2267便・国際2路線145便
減便対象は国内線が期間中20路線2267便、国際線が2路線145便で、計22路線2412便。ANAHDによると、対象路線は国内線が羽田-伊丹線や福岡線、国際線がソウル(金浦)線、青島線など、「同日・同路線に変更可能な便がある路線を中心」にしたという。また、2月に開催される札幌の雪まつりや春節など高需要期は減便しない見通し。
3月31日以降の運航便については、1月末に発表予定の2024年度事業計画で明らかにする。
減便対象の一部路線では、提携航空会社のスターフライヤー(SFJ/7G、9206)やソラシドエア(SNJ/6J)に臨時便134便運航を依頼。ANAとのコードシェア(共同運航)便となる。
国内線最多は2月
国内線は1月10日から減便が始まる。1月10日から3月30日までの月ごとの減便は、1月が8路線438便、2月が17路線923便、3月が15路線906便と、減便による欠航は2月がもっとも多い。国際線は1月12日から減便が始まり、1月が羽田-青島線1路線18便、2月が青島線に加えて羽田-ソウル(金浦)線の2路線39便、3月は2月と同じ羽田-青島線、ソウル線の2路線が対象で88便となる。
国内線の対象路線は、1月は羽田発着が札幌(新千歳)、伊丹、福岡、鹿児島、那覇、宮古、福岡-那覇、那覇-石垣。2月は羽田発着が札幌、伊丹、福岡、庄内、広島、米子、徳島、高知、佐賀、熊本、長崎、宮崎、鹿児島、那覇、宮古、福岡-那覇、那覇-石垣。3月は羽田発着が札幌、伊丹、福岡、庄内、広島、山口宇部、米子、徳島、高松、大分、長崎、宮崎、鹿児島、那覇、那覇-石垣となる。
減便対象の便を予約している人には、10月31日から登録しているメールアドレスなどに順次連絡し、予約変更や払い戻しを手数料なしで受け付ける。
国内でANA以外にA320neoファミリーを運航している航空会社は、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)、スターフライヤーの3社。ピーチはA320neoとA321neoの航続距離延長型A321LRの2機種、ジェットスター・ジャパンはA321LR、スターフライヤーはA320neoで、いずれもエンジンはCFMインターナショナル製「LEAP-1A」を選択しており、今回の問題は影響しない。
また、ANAが運航するA321のうち、4機あるA321ceo(従来型A321)はCFM製「CFM56」を採用しているため、今回の問題とは関係ない。
*エンジンに関する詳報はこちら。
関連リンク
全日本空輸
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10月31日の発表
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PW1100G
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