日本航空(JAL/JL、9201)は10月24日、残り1機となったボーイング777-200ER型機(登録記号JA703J)の退役チャーターフライトを12月12日に実施すると発表した。退役機は通常羽田空港から売却先の米国まで乗客を乗せない「フェリーフライト(回航便)」で運航するが、片道チャーターの営業運航に切り替えて参加者を乗せる。機内ではパイロットが実況解説し、航空機の保管先として有名な米ビクタービル付近をローパス(低空飛行)する。
チャーター便には、操縦担当とは別に案内役のパイロットが搭乗。コックピット内の業務や当日のフライトの様子などを運航中に解説する。目的地となるカリフォルニア州の上空をパイロットが考案した特別ルートで飛行するほか、ビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港の上空をローパスし、世界中から集まった航空機が砂漠に眠る様子を案内するという。「飛行機の墓場」のひとつとしても世界的に有名な空港だ。
退役機が米国へ向かう際、羽田発ロサンゼルス行きとして運航する。ツアーの日程は3日間または5日間で、10月24日から参加者を募集し、抽選で販売する。帰りは定期便で帰国するため、特別プログラムはない。取り扱いはJALのウェブサイトのみで、JALグループの旅行会社ジャルパックが企画・実施する。
旅行代金はロサンゼルス3日間、羽田発着で1室2人利用の場合、大人1人が往復エコノミークラス利用で窓側席が55万9000円、主翼上窓側含む普通席が52万9000円で、燃油サーチャージ込み。1次募集が24日から30日まで、2次募集が11月7日から9日まで。
JALの777-200ERは2002年8月1日に就航し、成田-北京線が1路線目となった。当初は今年度上期で退役させる計画だったが、11月に延期。国際線から国内線に転用した機材で、フルフラットシートを備えるビジネスクラスは、そのまま「クラスJ」席として販売している。
全11機あったJALの777-200ERのうち、現在運航しているのは3号機(W64仕様、2クラス312席)のみで、ほかの10機は退役済み。3号機の最終運航は11月12日で、最終便は那覇午後6時発羽田行きJL916便となり、午後8時15分に到着する見通し。777-200ERは就航から21年ですべて退役することになる。
3号機は最終日前後で各種イベントを計画。10月27日には中部空港でマイル会員向けの見学会を開催し、11月には「非日常」をテーマとした見学ツアーを羽田空港で開く。JALは今回の退役チャーターについて、運航を支えてきた運航チームと運航乗務員による「最高の送り出し」を本気で考えたツアーとなる、とPRしている。
退役チャーターフライトは、今年5月の777-200ER初号機(JA701J)に続き2回目。初号機が5月16日に売却先の米国へ向かった際は、フェリーフライトを活用した本邦初のチャーター便として運航され、サザンカリフォルニア・ロジスティックス空港を2回ローパス後にロサンゼルスへ到着した(関連記事)。
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ボーイング777-200ER退役チャーター ロサンゼルス3日間・5日間(ジャルパック)
日本航空
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動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
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