デルタ航空、羽田－ポートランド開設断念　発着枠返上、ユナイテッドが2路線申請

　デルタ航空（DAL/DL）は就航を計画していたポートランド－羽田線について、開設せず確保していた1日1枠（往復）の発着枠を返上すると、米国運輸省（DOT）へ通知した。デルタ航空の返上を受け、ユナイテッド航空（UAL/UA）はヒューストン－羽田線の開設をDOTへ申請。また、ハワイアン航空（HAL/HA）が保有する深夜帯の発着枠も要求し、グアム線を就航させるとしている。

—記事の概要—
・10月29日が期限
・ユナイテッドは2路線計画
・羽田柔軟運用案めぐり争う2社

10月29日が期限

羽田－ポートランド線の開設を断念したデルタ航空＝PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　発着枠の返上は、DOTへ現地時間9月22日に通知した。羽田空港では2020年夏ダイヤの昼間帯の発着枠を増便し、1日あたり50枠を追加。DOTはデルタ航空へ5枠を割り当て、シアトル、デトロイト、アトランタ、ポートランド、ホノルルから1日1往復ずつ乗り入れる予定だった。このうちシアトル、デトロイト、アトランタの3路線は開設済みで、ホノルルも10月末の開設を計画しているものの、ポートランドは運休が続いていた。

　デルタ航空は10月29日までにポートランド－羽田線を開設するよう求められていたが断念し、発着枠の返上を決定した。

ユナイテッドは2路線計画

デルタ返上分の羽田発着枠を要求するユナイテッド航空＝PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　ユナイテッド航空は9月25日に、デルタ航空の返上により浮いた羽田発着枠1枠分をDOTへ要求。ヒューストン－羽田線を12月1日から、1日1往復で開設するとしている。このほか、ハワイアン航空が保有する「運航予定のない」（ユナイテッド航空）深夜帯週5枠分も要求し、グアム－羽田線を12月1日から開設するとしている。

　2020年夏ダイヤの羽田増枠で、ユナイテッド航空はニューアーク、シカゴ、ワシントン、ロサンゼルスの4路線分の発着枠を獲得。ヒューストン、グアムも申請していたが、却下となった。

羽田柔軟運用案めぐり争う2社

　デルタ航空は、米国の航空会社に割り当てられている羽田空港の発着枠について、3年間に限り米国内のどこからでも羽田へ乗り入れられる制度「羽田ゲートウェイフレキシビリティ」をDOTに提案。2019年に羽田の昼間帯増便枠が各社に配分されたものの、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で旅客需要の戻りにばらつきがあることから、羽田路線に柔軟性を持たせることを提唱している。

　ユナイテッド航空は同提案についてDOTへ意義を申し立て、「デルタの身勝手な計画だ」と非難。羽田に乗り入れる米国の航空会社4社のうち、ユナイテッド航空は唯一同案に反対しており、「競争よりも偏狭な利益を優先しているのは、ユナイテッドのほうだ。ユナイテッドは全日本空輸（ANA/NH）とのジョイントベンチャー（JV、共同事業）を通じて、米国内のどこからでも羽田に就航できる」と非難するなど、争いが続いていた。

関連リンク
U.S. Department of Transportation
デルタ航空
ユナイテッド航空

柔軟運用案「羽田ゲートウェイフレキシビリティ」
・デルタ航空、羽田柔軟運用案でユナイテッドに反論「ANAとのJVでどこからでも就航できる」（23年5月20日）
・ユナイテッド航空、デルタ航空の羽田柔軟運用案に異議「身勝手な計画」
・デルタ航空要望の羽田柔軟運用、アメリカン航空が賛同　米国どこからでも乗り入れ（23年5月8日）
・ハワイアン航空、デルタ航空の羽田柔軟運用案に賛同　米系4社で反対はユナイテッドのみ（23年5月12日）
・デルタ航空、羽田便の柔軟性要望　需要低迷で出発地緩和案（23年5月6日）

10月末にホノルル開設
・デルタ航空、羽田－ホノルル10月就航　3年7カ月遅れ（23年8月29日）

デルタは羽田に1本化
・デルタ航空、成田撤退　41年に幕、羽田へ7路線集約（20年3月28日）
・デルタ航空、羽田一本化「都心に近い。それが利用者の声」　成田撤退で（19年10月3日）
・デルタ航空、成田撤退　羽田に20年3月集約、ソウル－マニラ開設へ（19年8月12日）
・羽田米国枠、デルタ航空が最多　米運輸省、12枠暫定割り当て　20年夏（19年5月17日）
・デルタ航空CEO、羽田発着枠「JAL/ANAがJFKに着陸できないのと同じ」不快感示す（13年8月1日）

20年夏の発着枠割り当て
・羽田米国枠、デルタ航空が最多　米運輸省、12枠暫定割り当て　20年夏（19年5月17日）

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