シンガポール民間航空庁(CAAS)によると、現地時間9月10日午後にチャンギ国際空港へ緊急着陸した中国国際航空(エアチャイナ、CCA/CA)の成都発CA403便(エアバスA320neo、登録記号B-305J)には、乗客146人と乗員9人の計155人が乗っており、9人の乗客が機外へ脱出時に煙を吸い込み、すり傷などの軽傷を負った。火元とみられる左エンジンで発生した火災は、着陸から約10分後に消火された。
CA403便は10日午後3時59分ごろ、前方貨物室とラバトリー(化粧室)から煙が上がっていると報告。管制官に緊急事態を宣言し、午後4時15分ごろにチャンギ空港の第3滑走路(RWY20L)へ着陸した。
空港の消防車が着陸直後に駆けつけ、約10分後の午後4時25分ごろに進行方向左側の第1エンジンから発生した火災を消火したという。乗客と乗員は全員脱出し、バスでターミナルへ避難した。
この事故により第3滑走路は一時閉鎖され、事故機は午後6時ごろに牽引されて移動。滑走路は点検を終えて午後7時2分ごろに運用が再開された。
事故機の座席数は2クラス158席(ビジネス8席、エコノミー150席)で、搭乗率は9割を超えていた。エンジンはプラット&ホイットニー(PW)製PW1100G-JMを搭載。機体の最終組立はエアバスの中国・天津工場で、2018年に引き渡された。
X(旧Twitter)に投稿された写真や動画には、乗客が避難する際、エンジン火災が発生した左側の前後ドアや左主翼上の非常口から緊急脱出スライドを使用して避難する様子が撮影されている。また、客室には白い煙が充満している様子が写っていた。
機体右側からも脱出していたとの情報があるものの、火元の近くへ脱出するのは極めて危険であり、全員が無事に避難できたことは結果論に過ぎない。国際的に定められた緊急脱出の手順とは異なるもので、誰が左側のドアを開けたかなど、詳細はわかっていない。
事故原因についてはシンガポール運輸安全調査局(TSIB)が調査中で、中国側と連絡を取っているという。
CA403便の運航スケジュール(定刻)
CA403 成都(11:05)→シンガポール(15:50)
関連リンク
Civil Aviation Authority of Singapore
中国国際航空
・中国国際航空のA320neo、シンガポールで左エンジン出火 左ドアから緊急脱出(23年9月11日)