エアバスはこのほど、長距離フライトでエコノミークラスの座席幅が乗客の快適性に及ぼす影響について調査した結果を発表し、座席幅の最小基準を18インチ(45.72センチ)にすることを航空業界に提案した。
ロンドンの医療機関「ロンドン・スリープ・センター」が睡眠ポリグラフ検査(脳波、目、腹部、胸部、腰、下肢の動きの測定など、睡眠時の基礎的な生理現象を記録)を用い、乗客に実施した調査によると、1950年代の基準である17インチ(43.18センチ)幅の座席と比較し、18インチ幅の座席では乗客の睡眠の質が53%改善したという。
同センターのイルシャード・エブラヒム博士(内科・外科学士、王立内科学医師協会会員)は、「18インチ幅の座席のすべての乗客が、より深い眠りに入り、乱されることも少なく、より睡眠時間が長かった」と述べた。
エアバスのケビン・ケニストン快適性担当責任者は、「予測される運航年数と航空機の引き渡しスケジュールを考慮すると、航空業界は今すぐに態度を決めないと2045年以降の乗客の快適性を損なうリスクがある」とした。
長距離国際線のエコノミークラスの乗客に対して、複数の空港で実施された最近の調査によると、座席の快適性は長距離国際線のエコノミークラスを予約する際、フライトスケジュールよりも優先される最も重要な基準になっていることが明らかになった。
ケニストン氏は、「調査では、座席幅が乗客の快適さに劇的な影響を及ぼすだけでなく、長距離フライトで17インチ幅の座席を避けようとする乗客が増えてきていることが分かった」と述べ、乗客がソーシャルメディアやウェブサイトで情報を収集し、より快適な座席を提供する航空会社を選択する傾向を指摘した。エアバスは長距離用エコノミークラスでは、座席幅は18インチを基準としている。