エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2023年7月2日 19:15 JST

ORC、新機材ATR42就航 Q200最短2年で更新

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 オリエンタルエアブリッジ(ORC/OC)は7月1日、新機材の仏ATR製ターボプロップ(プロペラ)機ATR42-600型機の初号機(登録記号JA10RC)を就航させた。長崎離島路線用の機材で、22年前に就航したボンバルディア(現デ・ハビランド・カナダ)DHC-8-Q200型機を更新していく。

長崎空港を離陸するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

—記事の概要—
Q200から9席増
最短2年で移行

Q200から9席増

 新機材のATR42は、2001年7月に就航したQ200の後継機。座席数は1クラス48席で、Q200の39席から9席増えた。ATR42による初便は、1日の長崎発五島福江行きOC77便で、乗客44人(幼児なし)を乗せて長崎を午後4時40分に出発し、午後5時12分に五島福江へ到着した。初日の1日は、OC77便と折り返しのOC78便、長崎発対馬行きOC61便と折り返しのOC62便の計2往復4便に投入された。

長崎空港で新機材ATR42初号機の機内を紹介するORCの客室乗務員=23年6月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 当初は長崎空港で就航式典を開催する予定だったが、1日午後に福岡発宮崎行きOC67便(DHC-8-Q400型機、JA844A)で機材トラブルが発生。宮崎空港へ緊急着陸したことから、式典は中止となった(関連記事)。

 1日に就航した初号機は、フランスのトゥールーズから2022年12月21日に長崎空港へ到着。6月までパイロットや客室乗務員などの訓練に使用されてきた。5月9日には、Q200の整備が発生したことから、長崎-壱岐線(OC43/44便)に急きょ投入し、5月17日も長崎-壱岐線(OC43/44便)と長崎-五島福江線(OC77/78便)に臨時投入し、正式就航前に2路線計3往復6便に使用された。

 ORCの大人形綱邦社長によると、同社が運航しているのが生活路線であることから、パイロットや客室乗務員の訓練に支障がなければ、臨時投入が可能なように国土交通省航空局(JCAB)と調整していたという。

長崎空港で出発を待つORCのATR42=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

最短2年で移行

 ORCのATR42は、リクライニングする本革シートを採用。従来のQ200よりも足もとにゆとりがあるという。照明はLEDを採用し、従来より座席上の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)が大きくなった。

前方貨物室を開けたORCのATR42初号機=23年6月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 化粧室(ラバトリー)内には折りたたみ式の「おむつ交換台」を、日本で導入された同型機では初めて装備。また、離島路線を飛ぶことから、患者を運ぶストレッチャーにも対応している。

 機体デザインは「飛翔する海鳥」がコンセプト。五島灘を大きく羽を広げて悠々と飛ぶ海鳥をイメージし、白い機体の前方と後方にラインを配した。新機材導入に合わせ、新しいロゴマークを制定し、「空」「海」「島」をビジュアルイメージとして、空を水色、海を青色、島を緑色で表現した。英文ロゴタイプは「安全安心な高い信頼性を感じさせる企業イメージを表現」するため、安定感のあるボールド系にしたという。

 エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PW127Mを2基搭載。エンジン1基あたりのプロペラのブレードがQ200の4枚からATR42は6枚に増えたことで、従来よりも静音性が向上したという。コックピットは、エアバスA380型機の技術を取り入れたグラスコックピットになっている。

 ATRはエアバスと伊アレニア・アエルマッキ(現レオナルド)の共同事業体として、1981年に設立されたリージョナル機メーカー。日本市場では、熊本県の天草エアライン(AHX/MZ)がATR機を初導入し、2016年2月20日にATR42-600(1クラス48席)を就航させた。

 大人形社長によると、Q200からATR42への機材移行が終わるまでに、少なくとも2年はかかるという。それまでの間はATR42とQ200、ANAホールディングス(ANAHD、9202)からのリース機であるQ400の3機種を運航していく。

長崎空港で出発を待つORCのATR42=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港の出発案内に表示されるORCのATR42初便となる五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港で出発を待つORCのATR42=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港を出発するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港の滑走路へ進入するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港を離陸するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港を離陸するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港を離陸するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

長崎空港を離陸するORCのATR42初便の五島福江行きOC77便=23年7月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

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