オリエンタルエアブリッジ(ORC/OC)は7月1日、新機材の仏ATR製ターボプロップ(プロペラ)機ATR42-600型機の初号機(登録記号JA10RC)を就航させた。長崎離島路線用の機材で、22年前に就航したボンバルディア(現デ・ハビランド・カナダ)DHC-8-Q200型機を更新していく。
—記事の概要—
・Q200から9席増
・最短2年で移行
Q200から9席増
新機材のATR42は、2001年7月に就航したQ200の後継機。座席数は1クラス48席で、Q200の39席から9席増えた。ATR42による初便は、1日の長崎発五島福江行きOC77便で、乗客44人(幼児なし)を乗せて長崎を午後4時40分に出発し、午後5時12分に五島福江へ到着した。初日の1日は、OC77便と折り返しのOC78便、長崎発対馬行きOC61便と折り返しのOC62便の計2往復4便に投入された。
当初は長崎空港で就航式典を開催する予定だったが、1日午後に福岡発宮崎行きOC67便(DHC-8-Q400型機、JA844A)で機材トラブルが発生。宮崎空港へ緊急着陸したことから、式典は中止となった(関連記事)。
1日に就航した初号機は、フランスのトゥールーズから2022年12月21日に長崎空港へ到着。6月までパイロットや客室乗務員などの訓練に使用されてきた。5月9日には、Q200の整備が発生したことから、長崎-壱岐線(OC43/44便)に急きょ投入し、5月17日も長崎-壱岐線(OC43/44便)と長崎-五島福江線(OC77/78便)に臨時投入し、正式就航前に2路線計3往復6便に使用された。
ORCの大人形綱邦社長によると、同社が運航しているのが生活路線であることから、パイロットや客室乗務員の訓練に支障がなければ、臨時投入が可能なように国土交通省航空局(JCAB)と調整していたという。
最短2年で移行
ORCのATR42は、リクライニングする本革シートを採用。従来のQ200よりも足もとにゆとりがあるという。照明はLEDを採用し、従来より座席上の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)が大きくなった。
化粧室(ラバトリー)内には折りたたみ式の「おむつ交換台」を、日本で導入された同型機では初めて装備。また、離島路線を飛ぶことから、患者を運ぶストレッチャーにも対応している。
機体デザインは「飛翔する海鳥」がコンセプト。五島灘を大きく羽を広げて悠々と飛ぶ海鳥をイメージし、白い機体の前方と後方にラインを配した。新機材導入に合わせ、新しいロゴマークを制定し、「空」「海」「島」をビジュアルイメージとして、空を水色、海を青色、島を緑色で表現した。英文ロゴタイプは「安全安心な高い信頼性を感じさせる企業イメージを表現」するため、安定感のあるボールド系にしたという。
エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PW127Mを2基搭載。エンジン1基あたりのプロペラのブレードがQ200の4枚からATR42は6枚に増えたことで、従来よりも静音性が向上したという。コックピットは、エアバスA380型機の技術を取り入れたグラスコックピットになっている。
ATRはエアバスと伊アレニア・アエルマッキ(現レオナルド)の共同事業体として、1981年に設立されたリージョナル機メーカー。日本市場では、熊本県の天草エアライン(AHX/MZ)がATR機を初導入し、2016年2月20日にATR42-600(1クラス48席)を就航させた。
大人形社長によると、Q200からATR42への機材移行が終わるまでに、少なくとも2年はかかるという。それまでの間はATR42とQ200、ANAホールディングス(ANAHD、9202)からのリース機であるQ400の3機種を運航していく。
関連リンク
オリエンタルエアブリッジ
機内お披露目
・ORC、新機材ATR42お披露目 7/1就航、Q200置き換え(23年6月24日)
ORCのATR42
・ORC、新機材ATR42は7/1就航 長崎離島路線(23年1月20日)
・ORCのATR42初号機、長崎空港へ到着 7月就航予定(22年12月21日)
・ORC、ATR42の覚書締結 23年以降就航、Q200置き換え(22年7月19日)