エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2023年7月1日 12:57 JST

ZIPAIR、マニラ就航　成田から1万円台、フルフラットは4万円から

共有する:

　ZIPAIR（ジップエア、TZP/ZG）は7月1日、成田－マニラ線を週7往復（1日1往復）で開設した。日本航空（JAL/JL、9201）が100％出資する中長距離国際線LCC（低コスト航空会社）で、6月に就航したサンフランシスコ線に続く8路線目となり、東南アジアの就航地は3都市になった。

成田空港を出発するZIPAIRのマニラ行き初便ZG95便を見送る西田社長ら＝23年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
・「親族訪問多い路線」
・アウトバウンド回復へ

「親族訪問多い路線」

　成田－マニラ線の運航スケジュールは、マニラ行きZG95便が成田を午前9時25分に出発し、午後1時10分着。成田行きZG96便は午後2時35分にマニラを出発して、午後8時5分に到着する。機材はボーイング787-8型機で、座席数は2クラス290席（ZIP Full-Flat 18席、Standard 272席）となる。

成田空港でZIPAIRのマニラ行き初便ZG95便に搭乗する乗客＝23年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で開いたマニラ線就航記念式典であいさつするZIPAIRの西田社長＝23年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　成田発の通常運賃は、フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat（ジップ・フルフラット）」が4万円から、エコノミークラス「Standard（スタンダード）」が1万1000円から、6歳以下のU6スタンダードは5000円で、燃油サーチャージは不要。運賃のほか、空港使用料や諸税が別途必要になる。

　初便のマニラ行きZG95便（787-8、登録記号JA822J）は、フィリピン人の家族連れをはじめ乗客277人を乗せて成田空港の16番スポットを午前9時45分に出発。A滑走路（RWY16R）を午前10時に離陸し、マニラへ向かった。床下の貨物室には約10トンの貨物を積んだ。

　ZIPAIRの西田真吾社長は、成田空港で開いた就航式典で「気軽に、お得に、マニラを訪れていただきたい。新しい選択肢として選ばれるように頑張る」と抱負を述べた。西田社長によると、マニラ線の予約の入り方は日本人と外国人がほぼ半々だという。「観光以外にVFR（友人・親族訪問）が多い路線。現地で時間を有効活用できるダイヤにした」と述べ、日本とフィリピンを結ぶ路線はアジアのLCCも開設しているが「需要が太く、需給が緩むことはない」との見方を示した。

　初便はエコノミーがほぼ満席で、フルフラットはやや空席が残ったという。「マニラから成田経由でZIPAIRの西海岸路線に乗り継ぐ需要がある」として、フルフラットシートはアジアと北米を乗り継ぐ乗客への販売が見込めるという。「フルフラットに空席があると、機内でアップグレードを受け付けているので、初便の客室乗務員が戻ってきたら乗客の反応を聞いてみたい」と話していた。

アウトバウンド回復へ

　マニラ線の就航により、ZIPAIRは成田－バンコク、ソウル（仁川）、ハワイのホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコを合わせた国際線7路線を展開。機材は787-8が6機で、7月末までに7号機（JA851J）を受領し、今年度計画している7機体制になる見通し。7機のうち、5号機と7号機が新造機で、残りはJALからの転籍機となる。

成田空港を出発するZIPAIRのマニラ行き初便ZG95便を見送る西田社長ら＝23年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　西田社長は「まずはデイリー（1日1往復）ではない路線を増便し、使いやすくしたい」と、増機後は既存路線の増便を計画。その後、8機目を導入する時点では、8機のうち1機が自動車の車検に当たる「Cチェック（重整備）」に入る見通しで、稼働は7機となる時期が生じるという。「（増機した機材は）増便に充てながら、新路線を検討していきたい」と述べた。

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で冷え込んだ日本人の海外旅行需要については、「夏休みを前に状況がだいぶ変わってきている。（為替の状況が）待っても円高に戻らないと感じている方もいるのではないか」と、夏休み期間からは日本人が海外へ向かう「アウトバウンド」も回復基調に入りそうだという。

＊写真は14枚（運航スケジュールは写真下に掲載）。