エアバスは、開発中の貨物型A350Fで公募していた機体デザインを、現地時間6月19日から開催中のパリ航空ショーで公開した。4000以上の応募の中から選んだ2案を組み合わせ、最終デザインとした。2024年末までに塗装を完了し、2025年の初飛行を予定する。就航は2026年となる見通し。
最終デザインに選ばれたのは、カルガリー(カナダ)在住のQuinntenさん(16)とEllistenさん(12)のIversen兄弟が考案したものと、ダブリン(アイルランド)在住のグラフィックデザイナー、John Feehanさん(57)のデザイン案。エアバスによると、2案が類似していたため、組み合わせて最終デザインを作成したという。
A350Fは大型旅客機A350の貨物型で、2021年11月に計画を発表した。最大離陸重量は319トン、ペイロードは最大109トン、航続距離は8700キロメートル(4700海里)全長は70.8メートルで、標準型のA350-900の66.8メートルと、長胴型のA350-1000の73.79メートルの間の長さとなる。エアバスによると、胴体の長さと容量は、業界標準のパレットや貨物コンテナに最適化したといい、機体後部左側に貨物ドアを設けた。
エンジンは、ロールス・ロイスのA350向けエンジン「Trent XWB(トレントXWB)」のうち、A350-1000向けのTrent XWB-97が採用された。燃費とCO2(二酸化炭素)排出量は競合のボーイング777F貨物機と比べて20%以上少なくなるという。また、2027年に発効するICAO(国際民間航空機関)のCO2排出基準をクリアする。
現時点で最新の5月末時点で、39機を確定受注している。内訳はシンガポール航空(SIA/SQ)とエティハド航空(ETD/EY)、航空機リース大手ALC(エア・リース・コーポレーション)の3社から7機ずつ、エールフランス-KLMグループ傘下のマーティンエアー(MPH/MP)とエールフランス航空(AFR/AF)、仏CMA CGMグループの航空貨物部門CMA CGMエアカーゴの3社から4機ずつで、アゼルバイジャンのシルクウェイ・ウエスト・エアラインズ(AZG/7L)からも2機受注した。また、匿名顧客からも4機受注している。
関連リンク
Airbus
The final A350F livery design revealed!(Airbus)
デザイン公募
・エアバス、A350Fのデザイン公募 パリ航空ショーで披露、24年初飛行へ(22年10月6日)
A350Fの受注・開発
・エールフランスKLM、A350F貨物機4機発注 マーティンエアーが運航(23年1月27日)
・シルクウェイ・ウエスト航空、A350F貨物機発注 27年受領(22年6月29日)
・エールフランス、A350F貨物機4機発注 パリ拠点に運航(22年4月12日)
・シンガポール航空、A350F貨物機を7機確定発注 25年から747更新(22年2月17日)
・エティハド航空、A350F貨物機を7機発注へ(22年2月16日)
・CMA CGMエアカーゴ、A350Fを4機発注(21年11月21日)
・ALC、エアバス機111機発注へ A350F貨物機も(21年11月16日)
・エアバス、A350貨物型開発へ 25年就航視野(21年7月31日)
A350は納入500機達成
・A350、納入500機納入 7年9カ月で到達(22年10月4日)