エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2023年6月18日 19:15 JST

777X、A350より広い客室アピール　737-10も試験機公開、リヤド航空は787-9展示＝パリ航空ショー2023

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　ボーイングは現地時間6月18日、あす19日に開幕する「第54回パリ航空ショー」に出展する次世代大型機777Xの旅客型777-9（登録記号N779XW）と、小型機737 MAXのうち胴体長が最長の737-10（737 MAX 10、N27751）の機内などを一部の報道関係者に会場となるパリのル・ブルジェ空港で公開した。いずれも飛行試験機で、サウジアラビアの新会社リヤド航空（RXI/RX）の787-9（N8572C）も地上展示する。

パリ航空ショーで公開された777-9飛行試験機＝23年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　737-10は、737の発展型である737 MAXファミリーの中で胴体長がもっとも長い「最大の737 MAX」で、最大座席数は1クラス230席。昨年ロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーが海外初披露となった。製造国が安全性を認める「型式証明」（TC）の取得には至っておらず、年内に開発完了となるかが注目される。日本の航空会社では、スカイマーク（SKY/BC、9204）が737-10を発注済み。

　777の後継機となる開発中の次世代大型機777Xは、メーカー標準座席数が2クラス395席の777-8と、426席の777-9の2機種で構成し、777-9から開発が進められている。2022年1月31日には、777-8をベースとする大型貨物機「777-8 Freighter（フレイター）」の開発が発表された。今回はファンボローと同じく777-9を出展し、飛行展示を披露するほか、777Xの客室を疑似体感できるコーナーも用意する。日本では全日本空輸（ANA/NH）を傘下に持つANAホールディングス（ANAHD、9202）が777-9を18機、777-8Fを2機発注済み。

　777Xの飛行試験機を訪れると、競合となるエアバスA350 XWBと客室の広さを比較する展示があった。777XはA350と比べて窓の上部付近で39.6センチ（15.6インチ）、足もと付近で35.6センチ（14.0インチ）広いといい、1列3-4-3席でシートを並べると窓側席分の差があることをアピールしていた。

パリ航空ショーで公開された777-9飛行試験機の客室に設けられたA350と広さを比較する展示＝23年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーで公開された737-10飛行試験機（手前）とリヤド航空の787-9＝23年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　また、防衛分野では、CH-47Fチヌーク、AH-64Dアパッチ、P-8Aポセイドン、KC-46Aペガサス、B-1Bランサー、C-17グローブマスター、F-15Eストライクイーグルなどを出展。ボーイングが出資し、最近単独オーナーになったという米ウィスクエアロ（Wisk Aero）が開発する4人乗りeVTOL（電動垂直離着陸機）の第6世代機も、ウィスクのパビリオンに展示する。

　パリ航空ショーは、フランス航空宇宙工業会（GIFAS）の100％子会社SIAEが奇数年の6月に開催。世界最大規模の国際航空宇宙見本市で、2年前の2021年は新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で中止となった。二度の世界大戦を除くと、開催中止は110年を超える歴史で初めてだった。

　4年ぶりとなる今回は、日本で「空飛ぶクルマ」と呼ばれているeVTOLに特化したイベント「パリ・エアモビリティ (Paris Air Mobility）」を初開催する。

　前回2019年開催の第53回パリ航空ショーは、49カ国から2453社が出展し、商業来場者13万9840人と一般来場者17万6630人の計31万6470人が来場。新型機はエアバスがA321neoの超長距離型「A321XLR」をローンチした。また、開発中止が今年2月7日に正式発表された三菱スペースジェット（旧MRJ）も実機が展示された。