日本航空(JAL/JL、9201)が運航していたボーイング777-200型機のうち、東京オリンピック・パラリンピックのキャラクターをデザインした特別塗装機「みんなのJAL2020ジェット」初号機として運航していた機体(登録記号5N-BBN、元JA773J)を、ナイジェリアのマックスエア(NGL/VM)が米国企業を通じて購入した。
JA773Jは2007年にJALへ引き渡された国内線仕様の777で、座席数は3クラス375席(ファースト14席、クラスJ 82席、普通席279席)、エンジンは米プラット&ホイットニー(PW)製エンジンPW4000を搭載。2019年4月8日から「みんなのJAL2020ジェット」として運航した。
その後、日米で2020年12月から今年2月にかけて777に搭載されたPW4000のファンブレードに不具合が発生。国土交通省航空局(JCAB)が、2021年2月21日にPW4000を搭載する777の運航停止を指示したため、JA773Jはこの日の羽田発那覇行きJL915便として那覇空港に到着後は運航できなくなった。JALが同年3月31日付でPW4000を搭載した777を全機退役させたことから、JL915便が最後の商業フライトになった。同機のファンブレードには同様の不具合は発生していない。
JA773Jは同年12月16日まで那覇に駐機されたままだったが、国交省が乗客を乗せないフェリーフライト(回航便)に限り運航を認めたことから、16日に中部空港を経由して離日。2カ所目の経由地となるホノルルを経て、カリフォルニア州ビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港に到着し、売却先の米国企業に引き渡された。ファンブレードの不具合発生以降、日本で最初のフライトとなった。
ビクタービルへ到着後は登録記号を米国籍のN808KWに変え、ビクタービルとモハベ砂漠にあるモハベ空港・宇宙港、アリゾナ州マラナのピナル郡エアパークで保管され、マックスエアに売却された。
登録記号が5N-BBNとなった元JA773Jは、航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると現地時間6月10日にマラナを出発し、11日にマックスエアが拠点とするナイジェリアのマラム・アミヌ・カノ国際空港へ到着した。
マックスエアによると、5N-BBNは同社初の777。機体後部には、「みんなのJAL2020ジェット」で描かれた東京五輪のマスコット「ミライトワとソメイティ」が描かれたままのようだ。同社はこのほかに747-400と737-400、737-300を保有している。
関連リンク
Max Air
JA773Jが離日
・国交省、PWエンジン777の運航停止を一部解除 JALフェリー便が売却先へ(21年12月16日)
みんなのJAL2020ジェット初便
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動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
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