エアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」の2号機(登録記号F-GSTB)が5月10日、最終目的地の神戸空港へ到着した。同型機の日本への飛来は3回目。仏マルセイユから6都市を経由し、10日早朝に関西空港へ立ち寄った後、神戸入りした。関空と神戸への飛来は、2021年12月以来約1年4カ月ぶりで、積荷のエアバス・ヘリコプターズの大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」2機を降ろした後、10日中に日本を離れる見通し。
*ベルーガからヘリを降ろす様子はこちら。
—記事の概要—
・日本へ3度目
・特大貨物運ぶ新事業
日本へ3度目
ベルーガSTは、マルセイユでH225を積み込んで現地時間6日に出発。10日は関空のA滑走路(RWY06R)を4Y8009便として午前9時11分ごろ離陸。淡路島の北側を通り男鹿島沖で右旋回して再び淡路島北側沖を飛行し、神戸空港の滑走路(RWY09)へ午前9時34分ごろに着陸した。
神戸にはエアバス・ヘリコプターズの格納庫などの施設があり、積荷のH225は海上保安庁が2021年に2機追加発注した機体とみられる。
日本への初飛来は、1999年にドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」をパリから成田へ輸送した際で、前回は22年ぶりの飛来となった。
航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、マルセイユからエジプトのカイロ、アラブ首長国連邦のドバイ、インドのムンバイとコルカタ(旧カルカッタ)、ベトナムのダナン、台湾の台北(桃園)の6都市を経由し、関空のB滑走路(RWY06L)に午前5時38分ごろ着陸して、同50分ごろスポット(駐機場)に到着。その後神戸へ向かった。
特大貨物運ぶ新事業
ベルーガはシロイルカを意味する愛称で、ユーモラスな外観のベルーガSTは中型旅客機A300-600Rをベースにしており、1996年1月に就航。エンジンは米GE製CF6-80C2を搭載し、エアバスが1970年代からパーツ輸送に使用してきた、ボーイング377ストラトクルーザーの改修機「スーパー・グッピー」の代替機として開発された。
欧州各地で製造されるA350をはじめとするエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ特殊な輸送機で、主翼のように長尺の積荷も運ぶため、イルカが口を開けるように機体前方が大きく開く。貨物室は高さ7.1メートル、幅6.7メートル、長さ39メートルで、最大40トンの積荷を運べる。
就航から20年以上が経過し、2020年1月9日には後継機となるA330-200F貨物機がベースの「ベルーガXL(Beluga XL)」が就航。余剰のベルーガSTがヘリコプターや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに輸送できることから、エアバスは特大貨物輸送サービスの新事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表した。前回2021年12月25日に、3号機(F-GSTC)が神戸へ警察庁向けとみられるH225を1機輸送したフライトが、ABT初のミッションとなった。
H225は11トンクラスの大型ヘリで、定員は操縦士を除き最大19人。国内では海保のほか防衛省や警察庁など官民合わせて34機が運用されている。
*写真は12枚。
関連リンク
BelugaST (Airbus)
Airbus
Airbus Helicopters
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン
2度目の神戸
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