日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長は5月2日、導入を進めている省燃費の最新鋭大型機エアバスA350-900型機について、確定発注18機のうち未受領の2機は当面導入せず、冬ダイヤに就航を計画している長距離国際線用のA350-1000の投入を優先する考えを示した。
A350-1000は現行のボーイング777-300ER型機の後継となる長距離国際線機材で、羽田-ニューヨーク線が最初の投入路線になる。JALが国際線のフラッグシップを刷新するのは19年ぶりで、初号機(登録記号JA01WJ)就航は10月29日開始の冬ダイヤを予定しており、客室仕様も刷新し、今年度(23年度)は2機導入する。
JALは777の後継機として、2013年10月7日にA350を発注したと発表。これまで日本の航空会社が大型機を選定するとなれば、ボーイングなど米国製と相場が決まっていたことから、欧州製のエアバス機導入は日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。777の後継として、標準型のA350-900を18機、長胴型のA350-1000を13機の計31機を確定発注し、オプション(仮発注)で25機購入する契約を締結した。国内線機材のA350-900は2019年9月1日に就航しており、16号機(JA16XJ)まで受領している。
赤坂社長は、A350-900の残り2機の導入時期について「いつというのは未定。国際線のほうがCO2(二酸化炭素)排出量の削減効果があるので、まずはA350-1000を入れていく」と語った。
また、2日に発表した現在進行中の中期経営計画のローリングプラン(改訂版)では、最終年度となる2025年度末にA350-1000を9機体制にする方針に変更はなかった。これにより、省燃費機材であるA350と787が占める割合を、2019年度の29%から2025年度には47%に引き上げる。機材更新により、1機あたりの燃費が20%改善するという。
JALグループ全体の機材数は、コロナ前の2019年度は234機、2022年度は224機、今年度は229機で、2025年度末までにコロナ前の機材数である232-238機に回復する見通し。3月23日に発表した737 MAXは、2026年度から導入する計画を進めている。
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