ANAホールディングス(9202)傘下の全日本空輸(ANA)は10月24日、国際線機内食を刷新すると発表した。子ども向けメニューを「食育」と「デコ弁(デコレーション弁当)」をテーマに、子育てしているANAグループのシェフが創作。国際線で8割の乗客が利用するエコノミークラス向けは、8月に実施したフェイスブックによる人気投票で選ばれたメニューを中心に構成する。いずれも提供は12月1日から。
野菜嫌いに配慮
子ども向け機内食は従来は簡素なものだった。実際に子育てするシェフ4人が、野菜嫌いの子どもでも食べてもらえるよう、今回のメニューではカレーに野菜をすり下ろして加えるなどの工夫を凝らし、栄養面でもカルシウムやビタミンを多く含む食材を取り入れた。
見た目も子どもが楽しめるよう、雪だるまをかたどったご飯や、ハート型のチーズを載せたハンバーグが入っている。味付けは機内食では濃いめにするのが一般的だが、素材の味を感じてもらうために薄めに仕上げている。
メニューにはお菓子が添えられているが、トレーマットも子どもたちが退屈しないよう、クイズを取り入れた。「からい」「あまい」「すっぱい」といった味覚とキャンディーやレモンなどの食材を結びつけて、食育になるような仕組みだ。
開発メンバーの一人で、ANAの機内食を手掛けるANAケータリングサービスの洋食シェフ、木内晃代アシスタントマネージャーは、3人の子育て中。「長女が2歳の時に海外旅行へ行った際、他社便の子ども向け機内食が簡素で娘も自分もがっかりした。以前から自分で作ってみたかった」と話す木内さんは、娘にハロウィンをモチーフにした弁当を作ったところ喜ばれたため、ペンギンやパンダなどと作り比べた結果、雪だるまのご飯をメニューに取り入れたという。
子ども向け機内食は搭乗24時間前までの予約が必要。対象路線は成田と羽田発の全路線全クラスで、2歳から12歳未満。
エコノミークラスは投票上位メニュー
エコノミークラス用機内食は、8月にフェイスブック上で実施した人気投票で1位となったメニューを採用。洋食は「コトコト煮込んだ赤ワインのハッシュドビーフ」、和食は「駿河湾産 釜揚げしらす御膳」を、成田と羽田発の欧米路線で提供する。このほかに客室乗務員を中心としたANAグループ社員約1800人から投票があった「社員おすすめメニュー」も用意する。
また、海外出発便もビジネスクラスの食事を強化。台北(桃園・松山)発便は高級ホテル「リージェント台北」とコラボレーションし、インド発便も各国首脳が訪印する際に料理を担当するシェフがプロデュースする。ANAによると台北線は55%が、インド線は50%が外国人客だという。
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全日本空輸
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