全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の芝田浩二社長は4月27日、ボーイング787-10型機の国内線仕様機を今秋から初導入することを明らかにした。当初は2機受領後、今年度内に4機体制にし、大型機の777-200ERの置き換えを進めてCO2(二酸化炭素)排出量の削減につなげていく。
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ANAHDは、2020年2月に787を最大20機追加発注したと発表。確定発注は超長胴型の787-10が11機、長胴型の787-9が4機の計15機で、このほかに5機の787-9をオプション発注(仮発注)した。787-10は国内線、787-9は国際線に投入する。エンジンはANAの787では初めてGE製GEnx-1Bを選定し、追加発注分はすべて同じエンジンとなる。今秋から投入する787-10の国内線仕様機は、この発注分となる。
GEnx-1Bを搭載した最初の機体は、787-9の国内線新仕様機(登録記号JA936A)で、2021年12月9日に就航済み。また、日本で初導入した787-10は、ロールス・ロイス製エンジンのトレント1000を搭載する3機の国際線仕様機を2019年4月から東南アジアを中心に投入しているが、国内線仕様機は今回が初導入になる。
ANAの787で最初のGEエンジン機となった787-9の国内線新仕様機は、上級席「プレミアムクラス」は新シートで既存機から10席増やし、普通席には787では初めてトヨタ紡織(3116)と共同開発したシートを採用した。787-10の国内線仕様機も、この仕様を踏襲するとみられる。
ANAHDが今年度内に導入する機材は、4機の787-10を国内線に投入するほか、787-9の国際線仕様機を4機、傘下のLCC(低コスト航空会社)であるピーチ・アビエーション(APJ/MM)が運航するエアバスA320neoを5機の計13機で、コロナからの回復期に備える。
今年2月15日に発表したANAグループの2023-2025年度中期経営戦略では、3月末時点で79機(787-8:36機、787-9:40機、787-10:3機)ある787を、2030年度には100機以上に増やす。
今年度通期の国内線旅客はコロナ前と比べて平均85%、国際線は同70%まで回復を想定。国内線はピーチの旅客数を合算すると平均95%を目指す。
国際線の方面別では「北米、東南アジア、オセアニアはコロナ前の水準に近づきつつある。需要が弱いのは中国と欧州」(芝田社長)として、今後は中国からの団体旅行の回復状況によっては、国際線のさらなる回復も期待できるという。
27日に発表した2023年3月期通期(日本基準)連結決算は、最終損益が894億7700万円の黒字(22年3月期は1436億2800万円の赤字)と、2020年3月期以来3期ぶりの黒字となった。今期(24年3月期)の通期連結業績予想は、純利益800億円を見込む。
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全日本空輸
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