ANA、NCAを子会社化へ　欧米貨物便を強化

　全日本空輸（ANA/NH）などを傘下に持つANAホールディングス（ANAHD、9202）は3月7日、日本貨物航空（NCA/KZ）を100％子会社化することで株主の日本郵船（9101）と基本合意したと発表した。子会社化の時期は今年10月となる見通しで、今後協議する。ANAHDは欧米への貨物便を多く運航するNCAを傘下に収めることで、エアライン事業の利益拡大を目指す。

＊10月に子会社化へ。記事はこちら。

NCA（左）の子会社化で日本郵船と合意したANAHD（資料写真）＝PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　ANAは持株会社移行前の2005年まで、NCAに27.59％出資していたが、全株式を日本郵船に譲渡。日本郵船の譲渡前の出資率はANAと同じく27.59％だったが、譲渡後は55.18％となり連結子会社化した。ANAは2005年当時、譲渡の理由について「日本郵船がNCAを連結子会社とすること、ANAが独自に航空貨物輸送事業を展開することは競争力を高める最善の選択」と説明している。

　その後もインターライン（連携運送）や整備、貨物便のコードシェア（共同運航）などで協力関係にある。

　ANAHDは2月15日に発表したANAグループの2023-2025年度中期経営戦略で、主力の航空事業の利益拡大を3本柱のひとつとして掲げている。オンラインで会見したANAHDグループ経営戦略室経営企画部の津田佳明部長は、NCAの買収について「達成する手段として貨物事業を拡大する」と説明した。

　津田部長は貨物の流れについて「大動脈は、中国などのアジアから米国を中心とした北米への流れ」とした上で、「ANAは旅客機と貨物機を持つ『コンビネーションキャリア』で、日本－中国間は充実しているが、日本－欧米間の生産量が不足している。旅客機の床下貨物室（ベリー）でも運んでいるが、アンバランスが生じている」とし、NCAの欧米路線を融合させることで、“大動脈”の取り込み強化を図る姿勢を示した。

　ANAグループの貨物事業会社ANAカーゴ（ANA Cargo）は、貨物専用機を11機運航している。内訳は大型貨物機のボーイング777Fが2機、中型貨物機の767Fは9機。767Fのうち4機が新造機の767-300Fで、残り5機はANAが旅客機として運航していた機体を貨物機に転用した767-300BCF（ボーイング・コンバーテッド・フレーター）となる。またANAHDは、2022年7月に次世代大型機777Xの貨物型777-8Fの導入も決め、2028年以降に2機受領する見通し。

　NCAは15機保有し、このうち747-8Fを8機運航中。残りの7機は747-400Fで、すべて他社へリースしている。

　ANAHDグループ経営戦略室経営企画部の鈴木大輔担当部長は、オンライン会見で「9機ある767Fが老朽化し、機材更新がテーマとなっている。今回の買収が成功すればわれわれの強みになる」と述べた。

関連リンク
全日本空輸
ANAカーゴ
日本貨物航空

10月子会社化へ
・ANA、NCAを10月子会社化　貨物事業を統合再編へ（23年7月10日）

ANA
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