国土交通省は2月28日、2023年度の新規直轄事業の候補として、北九州空港の滑走路延長など17件を選定したと発表した。空港整備事業は北九州のみ。
北九州空港の滑走路(RWY18/36)は長さ2500メートル。24時間運用のため、旅客便に加えて貨物便も乗り入れているが、滑走路が短いことで搭載できる貨物量に制約が生じる場合があり、航空会社は滑走路が3000メートル以上ある他空港を選ぶことがあるという。
周辺地域に貨物需要があるものの、滑走路長が2500メートルであるため、貨物定期便やチャーター便の就航機会を逃しているとして、南側に500メートル延ばして3000メートルとする計画を進めている。工事に着手した場合の予定工期は約4年、概算事業費は約130億円としている。
一方、3000メートルを超える滑走路を整備するとなると、進入灯などの海上設備が必要になるほか、環境アセスメントの手続きや関係者調整に多くの時間を要し、早期整備が困難となるとともに、整備費用が大幅に増加すると指摘している。
国交省によると、北九州空港の背後圏にあたる九州・西中国地域内では、北米や欧州と結ぶ航空貨物の輸出入空港は、北米では輸出と輸入の約8割ずつが、欧州では輸出の9割、輸入の5割が、成田や羽田、関西など遠方の空港を利用していることがわかった。荷主が北九州空港の代わりに成田を利用する場合、陸送費用は北九州の約6倍、輸送時間は約12倍、走行距離は約14倍になり、大きな損失になっているという。
滑走路を3000メートル化することで、北九州空港から直行便が就航できない北米や欧州への貨物便の開設や、火力発電用タービンなど大型重量物のチャーター便が乗り入れられるようになる。今後は自治体などから意見を聞く。
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