MRJ, 機体, 解説・コラム — 2023年2月7日 21:23 JST

スペースジェット試験機、3機は米国で保管中 解体か保存か

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 開発中止が決まった三菱重工業(7011)のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」。米国で試験を行っていた4機の飛行試験機のうち、3号機(登録記号JA23MJ)は解体済みだが、残り3機の処遇は決定していないという。

モーゼスレイクの格納庫に駐機中の三菱スペースジェットの飛行試験3号機(左)と2号機=19年12月10日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

 米国でのスペースジェットの飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」は、2022年3月末で閉鎖。3号機が初の解体となった理由について、三菱重工は同機で実施する試験が完了したためだという。

 3号機は2016年11月22日に初飛行。米国でローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)のカラーリングに塗り直され、2017年6月に開催された世界最大規模の航空ショー「第52回パリ航空ショー」に同機が初出展された。この時は地上展示のみで、翌2018年7月にロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーでは飛行展示を披露した。

 コロナ前の2019年6月には、名称がMRJから三菱スペースジェットに改められたことから、新塗装をまとってパリ航空ショーに姿を表した。

 スペースジェットの試験機で飛行したものは5機で、4機が米国へ渡った。残り1機は、設計変更を反映して2020年3月18日に初飛行した通算10号機(JA26MJ)で、愛知県小牧市の県営名古屋空港にある。

 米国に残る3機は、初号機(JA21MJ)と2号機(JA22MJ)、4号機(JA24MJ)。3号機のように解体するのか、展示先を募るのかなどは決まっていないという。飛行試験機を県営名古屋空港から米ワシントン州のモーゼスレイクまでフェリー(回航)する際は、米国で飛行試験を実施することを目的として、当局から臨時の飛行許可を得ていた。

モーゼスレイクのグラントカウンティ空港を離陸したMRJの飛行試験初号機=18年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 仮に機体を日本へ戻すことを検討する場合、これまでのように臨時の許可が下りるのかも検討材料になるようだ。飛行が認められない場合は、3号機と同様にモーゼスレイクで解体するなど米国内で対処することになる。フェリーフライトや機体の保存は費用がかかるため、最も安価なのは米国で解体することだ。機体を保存するとしても、誰が多額の費用を負担するのかといった問題がある。

 飛行試験が今後行われないことが確定した今、米国に残る飛行試験機の去就が注目される。

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