フランス軍事省下の装備総局(DGA)は、次期海上哨戒機の開発に向けて、エアバスとダッソー・アビエーションの2社と研究契約を結んだ。エアバスの防衛宇宙部門エアバス・ディフェンス・アンド・スペースはA320neo、ダッソーはFalcon 10X(ファルコン10X)を母体とし、アーキテクチャーを1年半かけて研究する。
フランスの次期海上哨戒機は、2026年に開発が始まる見通し。エアバスとダッソーには、2030年以降のフランス海軍の運用ニーズを満たし、経済的にも魅力ある提案を求めている。研究予算は税込みで1社あたり1090万ユーロ(約15億円)が割り当てられる。
DGAの決定を受け、エアバスは小型旅客機A320neoを母体とするA320MPAプロジェクトを現地時間1月12日に発表。フランス海軍の全ミッションを満たすのに最も適しているという。
ダッソーがベースとするFalcon 10Xは、2025年末の就航を目指して開発が進む大型ビジネスジェット機で、ニューヨーク-上海間をノンストップで飛行できる7500海里(約1万3890キロ)の航続距離を実現できる見通し。
DGAによると、今回の研究による技術革新は、センサーや通信手段の改良、AI(人工知能)に基づくロジックの導入、特に将来の対艦ミサイルのインテグレーションに関係する可能性があるという。
フランス海軍は現在、22機のダッソー・ブレゲー(現ダッソー・アビエーション)アトランティーク2(ATL2)哨戒機を運用。1990年代初頭に就役した機体で、うち18機は「スタンダード6」と呼ぶ最新仕様に改修を進めており、2025年に完了する見通し。
各国の哨戒機選定では、川崎重工業(7012)製のP-1を選定した日本を除くと、ボーイングが737-800をベースに開発したP-8A「ポセイドン」を選定する国が目立つ。2022年12月時点で米海軍と豪州海軍、インド海軍、英空軍、ノルウェー空軍、ニュージーランド空軍の6カ国へ150機以上を納入しており、今年は韓国、2024年にはドイツへの初納入が計画されている。ボーイングは、カナダ空軍にもCP-140「オーロラ」の後継機として提案している。
関連リンク
Ministère des Armées
Airbus
Dassault Aviation
P-1
・国産最大のC-2輸送機、パリ航空ショー初参加 P-1と並ぶ(19年6月16日)
・P-1、パリ航空ショー終え離陸 自衛隊機初の出展(17年6月23日)
ボーイングはP-8A
・P-8A、150機目を米海軍に納入(22年7月8日)
・哨戒機P-8のいま 各国で導入、米海軍は102機に(20年7月28日)