IHI(7013)は、日本と英国、イタリアの3カ国が共同開発する次期戦闘機プロジェクトにエンジン担当企業として参画する。防衛省が2020年から着手している次期戦闘機開発にも参画しており、今後は国際共同開発に移行する。
日本はこれまで、航空自衛隊のF-2戦闘機の後継となる次期戦闘機の開発に向け、技術開発を進めてきた。IHIは戦闘機向けなどさまざまな航空機用エンジンの国内でのライセンス生産や、プロトタイプの開発を手掛けている。
2018年6月29日には、将来の戦闘機用ジェットエンジンのプロトタイプで、アフターバーナー使用時の最大推力が15トン級の「XF9-1」を防衛装備庁の航空装備研究所へ納入している。
2016年4月22日に初飛行した先進技術実証機「X-2」のエンジンで、IHIが手掛けたXF5-1は推力5トン、高圧タービン入口温度が1600度だった。XF9-1の開発では、最先端の材料技術や加工技術を随所に採り入れ、戦闘機用エンジンを研究開発する技術基盤の構築を進めてきた。
日本と英国、イタリアの3カ国が12月9日に共同首脳声明を発表したことで、次期戦闘機は今後、日英伊3カ国共同の「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)」として開発を進め、3カ国すべてが将来に渡り最先端の戦闘航空能力を設計、配備、アップグレードできる枠組みとした。
各国で開発主体となる企業は、機体が三菱重工業(7011)と英BAEシステムズ、伊レオナルド、エンジンはIHIと英ロールス・ロイス、伊アヴィオ、電子機器は三菱電機(6503)と英レオナルドUK、伊レオナルドで、各プロジェクトを統括していく。
IHIは国際共同開発を契機に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進や、パートナーとなる国への海外技術移転なども視野に、グローバルビジネスで活躍できる人材や高度な技術を持つエンジニアの育成などを進めたいという。
関連リンク
IHI
防衛省
航空自衛隊
Team Tempest(Royal Air Force)
三菱重工業
BAE Systems
Leonardo
次期戦闘機の共同開発
・次期戦闘機、日英伊3カ国共同開発 F-2後継35年配備へ、米とは無人機開発(22年12月9日)
XF9-1
・IHI、XF9-1を納入 戦闘機用エンジンのプロトタイプ(18年7月4日)
X-2
・国産ステルス実証機X-2、初飛行成功(16年4月22日)
テンペスト
・英次世代戦闘機テンペスト、前部胴体を公開 日本も参画、5年以内に初飛行=ファンボロー航空ショー(22年7月21日)
・英BAE、日本に子会社設立 防衛省と関係強化(22年4月6日)
・日本の次期戦闘機、英BAEが開発支援提案(20年11月4日)
・英BAE、次世代戦闘機テンペストの風洞実験 3Dプリンターで模型作成(20年8月31日)
・BAE、英次世代戦闘機テンペスト向け新工場(20年7月14日)