リージョナルジェット機世界最大手であるブラジルのエンブラエルが開発した最新鋭機E195-E2「TechLion(テックライオン)」(登録記号PR-ZIQ)が11月16日午後7時10分ごろ、羽田空港を離陸し、次の訪問先であるベトナムへ向かった。
TechLionは、エンブラエルによるアジア太平洋ツアーの一環で、中国・珠海で8日から開かれた珠海航空ショーを皮切りに、各地を訪れている。羽田には13日に到着して日本の航空関係者向けに披露され、羽田発着の試乗会も15日と16日に行われた。
E195-E2は、エンブラエルの次世代リージョナルジェット機「E2」シリーズのうち最大の機体。E2はエンブラエル170(E170)とE175、E190、E195の4機種で構成する「Eジェット」の後継機で、E175-E2とE190-E2、E195-E2の3機種から成る。
エンブラエルは、E2シリーズのキャッチフレーズとして「プロフィット・ハンター」を掲げており、猛獣の顔を機首に描いてきた。TechLionはコンピューターの基板のようなライオンを機体全体にデザインしており、前回は2019年7月に羽田へ飛来した。
E195-E2のメーカー標準座席数は1クラス132-146席、3クラスでは120席。従来のE195と比べて3列増やし、航続距離は300海里(555.6キロ)延びて2600海里(4815キロ)となった。東京からベトナムのハノイ、ブルネイ、パプアニューギニアなどへ飛べ、日本の航空会社が中近距離の国際線に投入できるほどの航続距離を誇る。
TechLionの客室は、ビジネスクラスとエコノミークラスで構成。ビジネスはスタッガード配列を採用し、エコノミーは29インチ、29.5インチ、30インチ、31インチ、32インチ、33インチ、34インチなど、場所によりシートピッチを変えていたが、エンブラエルでは、シートを工夫することなどで29インチでも余裕があることをピーアールしていた。
従来より大型化した頭上の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)は、機内持ち込みが可能なローラー付きのスーツケースを4つ収納できるようになっている。また、2クラスとも各席に電源コンセントを設け、照明にはLEDを採用するなど、近年の客室に求められる装備を網羅していた。
E2のエンジンは、三菱重工業(7011)が開発を事実上凍結している「三菱スペースジェット(旧MRJ)」と同じく、低燃費と低騒音を特徴とする米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製GTFエンジンを採用。推力の違いにより、E175-E2がPW1700G、E190-E2とE195-E2がPW1900Gを搭載する。
ランディングギアなども改良し、Eジェットよりも整備性を向上させ、運航コストを抑えられる工夫を施している。
日本の航空会社ではE2の採用はまだないが、Eジェットは日本航空(JAL/JL、9201)グループで地方路線を担うジェイエア(JAR/XM)と、フジドリームエアラインズ(FDA/JH)の2社が導入。E195以外の3機種が日本の空を飛んでいる。
関連リンク
Embraer
11/15から公開
・エンブラエル、羽田発着でE195-E2「TechLion」披露 日本市場にアピール(22年11月15日)
11/13に羽田到着
・E195-E2「TechLion」羽田到着 スペースジェットと同系エンジン(22年11月13日)
写真特集・エンブラエルE195-E2 日本初公開
・リージョナル機でも全席通路アクセス(19年7月17日)
E190-E2搭乗記
・エンブラエル、E190-E2初のメディアフライト MRJ最大のライバル、ファンボロー開幕前に(18年7月16日)
E2シリーズのセールスポイント
・CAにやさしい手荷物収納棚やシート 特集・エンブラエルE195-E2の機内(20年2月25日)
19年に初飛来
・E195-E2、日本初飛来 ”TechLion”アジア太平洋ツアーで羽田到着(19年7月15日)
7月のファンボローで飛行展示
・E190-E2、テックシャーク塗装で飛行展示=ファンボロー航空ショー(22年7月31日)
E190-E2機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・E190-E2 Media flight at Funborough Air Show 2018
特集・エンブラエルが考える将来の航空市場
(1)「次世代ターボプロップ機は27年ごろ」
(2)日本は20年間で120機のリージョナル機需要