エアライン, 企業 — 2022年11月10日 15:10 JST

ANA、廃棄シートカバーから手作りルームシューズ　オンワード商事と共同開発

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　全日本空輸（ANA/NH）を中核とするANAグループは11月10日、航空機の座席のシートカバーから作った「ANA特製ルームシューズ」の抽選販売を始めた。従来は廃棄されていたものに新たな価値を与える「アップサイクル」のプロジェクト第1弾で、ANAに制服を納入しているオンワード商事と商品開発した。両社の協業はひとつずつ手作りで、初回販売は50足となる。

シートカバーから作った「ANA特製ルームシューズ」を手にする客室乗務員＝22年11月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　ANAのシートカバーは、生地の色あせや品質表示タグの文字が読みにくいなど、規定に基づいて定期的に交換が行われており、1カ月あたり約1000枚が廃棄され、アップサイクルに回せるのは100-200枚程度。今回使用する生地は3種類で、ボーイング787型機と767の国内線普通席用、787の国際線エコノミークラスと737の国内線普通席用、ボンバルディアQ400（現デ・ハビランド・カナダDash 8-400）用となる。

　廃棄されたシートカバーは洗浄後、スリッパ生産量日本一だという山形県河北町の工場で手作りする。生地の中で利用できる部位を職人がひとつずつ確認し、手作業で縫い上げていく。かかとをたたんだ状態の「スリッパ」と、かかとを起こした「ルームシューズ」の2種類の履き方ができ、サイズはM（22-25cm）、L（25-27cm）、LL（27-28.5cm）の3サイズ展開になる。

（左から）787国際線エコノミー/737国内線普通席用、787/767国内線普通席用、Q400用のシートカバーから作った「ANA特製ルームシューズ」＝22年11月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ルームシューズで使った787/767国内線普通席用シートカバーを手にするANAビジネスソリューションの照沼有紀子さん＝22年11月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　税込価格は1足6930円で、送料は別途1500円。ANAグループのANAウィングフェローズ・ヴイ王子が運営する販売サイト「ANA UP-CYCLE PROJECT SHOP」で扱い、予約は10日から16日正午まで受け付ける。抽選結果は17日午後3時以降に電子メールで通知する。

　発案したANAビジネスソリューションの照沼有紀子さんは、ANAグループの社内新規事業提案制度「New がっつり広場」で提案。構想は2年前から温めていたといい、「肌触りが良く、履くと温かみを感じられ、長く履いていただけるようにしました」という。

　「コロナ前は廃棄していたものでも、最近はSDGs（Sustainable Development Goals＝持続可能な開発目標）の取り組みで少しでも廃棄を減らそうとなっており、企画を考えた時よりも生地が出にくいです」と、当面は1回あたり50足の販売になったという。また、アップサイクルのプロジェクトのため、新品の布は使用しない。

　照沼さんは「ルームシューズと同じ生地が機内でも使われているので、機内でもシートに愛着を持っていただけたらうれしいです」と話していた。

　また、次回12月分の予約は、12月8日正午から14日正午までを予定している。

＊写真は12枚。