全日本空輸(ANA/NH)は10月5日夜、ANAはサステナビリティ(持続可能性)をテーマにした特別塗装機「ANA Green jet(ANAグリーンジェット)」の1号機(ボーイング787-9型機、登録記号JA871A)を国際線に就航させた。初便の羽田発サンフランシスコ行きNH108便は乗客144人(幼児1人含む)を乗せ、午後10時55分に出発した。
グリーンジェットは環境の概念を表現する「水と緑」をモチーフにし、機体表面には「サメの肌」から着想したニコン(7731)の「リブレットフィルム」を試験装着。サステナブル素材を使ったヘッドレストカバーなどを採用した。
リブレット(鮫肌)加工は、鮫肌加工のフィルムを貼り付けることで、CO2排出量削減を目指す。機体表面にサメの肌のようなざらざらとした「リブレット加工」と呼ばれる特殊加工を施すことで、飛行中の空気摩擦抵抗を低減でき、結果的にCO2排出量や燃費改善につなげられるという。
機内では、環境に配慮した2種類の素材「ヴィーガンレザー」を使ったヘッドレストカバーを採用。ひとつは東レ(3402)の植物由来比率を世界最高水準に高めた銀面調人工皮革「Ultrasuede nu」を使ったもので、もう一つは青森産リンゴジュースの絞りかすを活用した合成皮革を開発するスタートアップ企業appcycle(青森市)の「RINGO-TEX」を採用した。
LEDによる照明はグリーンのライティングを用意。機内BGMは、豊かな自然を想像できるヒーリングミュージックを初めて採用した。また、客室乗務員は機体と同じく「水と緑」をモチーフにしたデザインのエプロンを着用する。
ANAグループは中期経営戦略で掲げるESG(環境・社会・企業統治)経営を推進していくため、2021年6月にスローガン「ANA Future Promise」を制定。今年3月から機内食の調理時に出る残渣(ざんさ)の循環型化を行うなど、機内サービスでも環境に配慮した取り組みを進めている。
グリーンジェットを活用し、サステナブル(持続可能)素材を使った機内食食器などの機内サービス品の提供や、アップサイクル商品の販売拡大、CO2(二酸化炭素)排出抑制などの取り組みを進めていくという。国際線と国内線ではサービスが異なることから1機ずつ投入し、11月に2号機となる787-8(JA874A)を国内線に就航させる。
ANAグループの機体は青を基調としたデザインで、緑色を配した機体は2018年3月12日に運航を終えた特別塗装機「エコボン」以来、約4年ぶりとなった。
*写真は9枚。
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ANA Future Promise(全日本空輸)
全日本空輸
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