日本航空(JAL、9201)は9月18日、経営破綻後に撤退した地方路線のうち、代替交通手段がない路線の運航を再開する方針を発表した。撤退路線の4分の1にあたる10路線を候補とし、2014年4月以降準備が整った路線から再開する。(HAC再子会社化の会見記事はこちら)
代替手段のない撤退路線は、札幌-山形線や鹿児島-岡山線、鹿児島-高松線など10路線。JALの植木義晴社長は「地元と話し合った上で、どの路線から再開するかを考えていく」と述べ、現段階で再開が確定した路線はないとした。
同じく経営破綻後に経営から手を引き、人的支援などにとどめてきた北海道エアシステム(HAC、NTH)については、再子会社化する方針を明らかにした。HACの筆頭株主である北海道とは、JALの出資比率を現在の14.5%から51%を視野に引き上げる方向で調整を進める見通し。
植木社長は「地方路線復活もHACも、今まで(自社の経営再建で)培ってきたノウハウで黒字化できる」と述べ、民間企業としての収益性と公共交通機関としての責務をバランスを取って果たす考えを示した。
また、羽田と成田の位置づけについては、羽田で国内線と国際線を結び、成田ではアジア方面と北米方面など、国際線同士の接続を重視する方針を表明。韓国・ソウルの仁川空港へ流れていた地方から海外へ向かう旅客を、「羽田経由に取り戻したい」(植木社長)と語った。
ANAホールディングス(9202)が格差があると指摘し、傾斜配分を求めている羽田の国際線発着枠について、植木社長は「会社更正法の適用の効果は有期限のもの。(一度配分されると)恒久的な発着枠とは別問題」と述べた。また、「(2社の)競争により適正価格を提供できる」として、2社が競い合うことが利用者の利便性につながるとの考えを示した。
今回の地方路線復活とHAC支援の発表について、発着枠の配分との関連性を問われると、「切り離して考えている」と応じた。
19日で再上場から1年を迎えるにあたって、植木社長は利用者や旧株主などに対し「大変なご迷惑をおかけした」と謝罪した。18日午後7時時点での外国人株主の比率は50.51%となった。(HAC再子会社化の会見記事はこちら)
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日本航空
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