地方路線の翼を近代化する機体として、2003年から鳴り物入りで導入された全日本空輸(ANA)のボンバルディアQ400型機。今でこそ定時性表彰をボンバルディアから6年連続で受けるなど、運航品質が向上したが、就航当初は不具合の多発した機体だった。(第1回はこちら)
問題の多い部品はANAのグループ会社が不具合を突き止めて、具体的にどう改善して欲しいかをボンバルディアに示し、品質改善を繰り返していった。
しかし、不具合対策はすでに起きた事象の対策だけでは意味がない。問題の発生源を改善しないと、同じような問題が発生する。機体であれば、製造現場から改善する必要がある。
Q400の品質を向上させるため、ある人物がANAからボンバルディアへ向かった。(文中敬称略)(最終回はこちら)
誰かほかに行くんですか?
ボンバルディアのあるカナダ・トロント。2005年から主席技術駐在として派遣されたのは、機体計画部(当時)の副部長となった北原宏。
整備士として入社した北原は、ボーイング747型機の整備を担当した後、生産管理や機体の調達など対外交渉畑を歩んできた。
「低燃費、高性能と鳴り物入りで導入したが、当初からジェネレーター(発電機)やハイドロ(油圧系統)などで不具合があった」と語る北原は、日本で大きなシェアを得ているボーイングと比べると、顧客サポート面でボンバルディアは遅れをとっていたと振り返る。
日本とカナダでは時差もあるため、アフターサービス強化と機体の品質向上を主な目標として、ANAからボンバルディアへ駐在員を送ることになった。「ボーイングには技術に精通したANAの社員を送っていたが、この時は交渉力や押しの強い人間が選ばれたようだ」と、北原は苦笑しながら話す。
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