エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2022年8月28日 11:25 JST

就航24年の500席機、国内線復活 特集・ANA 777-300運航再開

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 日本の航空会社が運航する国内線機材で、唯一500席を超える全日本空輸(ANA/NH)のボーイング777-300型機が8月27日、運航を再開した。初日は本紙既報の通り、再開初便の羽田発札幌(新千歳)行きNH51便を皮切りに、札幌発の羽田行きNH54便、羽田発札幌行きNH63便、札幌発の羽田行きNH66便の計4便に投入された。5機ある777-300のうち、2号機(登録記号JA752A)が使用された。

羽田空港を離陸するANA 777-300による札幌行きNH63便(奥)と手前は地方路線を中心に活躍するA321neo。コロナ前の日常風景が戻ってきた=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2クラス514席(プレミアムクラス21席、普通席493席)と、777-200/-200ERと比べて約10メートル長い胴体に、100席以上多い座席数を誇る777-300。好天に恵まれ気温33度を記録した27日は、737-800(2クラス166席)やエアバスA321neo(2クラス194席)などの小型機、767-300ER(2クラス202席)、787-8(2クラス335席)といった中型機と並ぶ姿もみられ、およそ四半世紀続くコロナ前の羽田の日常風景が戻ってきた。

—記事の概要—
777-200は6月復帰済み
500席超はA380と777-300のみ
レイクド・ウイングチップない777-300

777-200は6月復帰済み

 ANAの777は、長距離国際線用の777-300ERを除き、米プラット&ホイットニー製エンジン「PW4000」を採用。777-200は推力が7万4000ポンド(約3万3790キロ)のPW4074、777-200ERと777-300は9万ポンドのPW4090を選定した。777-200ERのうち、国内線機材として2012年から2013年にかけて導入したJA741Aから745Aは、PW4090の推力を制御プログラムで抑えたPW4074Dを搭載している。

羽田空港を出発するANAのPW4000搭載777再開初便の福岡行きNH255便。777-200は6月に復帰した=22年6月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の運航再開は、コロナによる需給バランスの変化ではなく、PW4000の不具合対策が終わった機体の復帰だ。米国で2021年2月20日(日本時間21日)に、ユナイテッド航空(UAL/UA)の777-200(N772UA)で起きたPW4000のトラブルを受け、国土交通省航空局(JCAB)は同日、ANAと当時保有していた日本航空(JAL/JL、9201)に、同じエンジンを搭載する777の運航停止を指示した。

 FAA(米国連邦航空局)やJCABが指示した安全措置を講じることを条件に、JCABは今年3月18日付でこの指示を解除。ANAは6月23日に、PW4000を搭載する777の商業運航を1年4カ月ぶりに再開した(関連記事)。

500席超はA380と777-300のみ

 ANAの777-300国内線仕様機は、1998年7月10日に羽田-広島線に就航。7機導入したが、これまでに2機(JA756A、JA757A)が退役済み。残り5機は運航停止前、羽田-札幌線や福岡線、那覇線などの高需要路線に投入されていた。

羽田空港を離陸するANA 777-300による札幌行きNH63便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 6月に運航を再開した777-200/-200ERの座席数は、2クラス392席仕様(プレミアムクラス28席、普通席364席)と2クラス405席仕様(プレミアムクラス21席、普通席384席)。777-300は100席以上多く、9月の行楽シーズンや年末年始を前に、1便で大量輸送できる機材が戻ってきた。

 国内の航空会社で500席を超える機材は、同じくANAが3機保有する総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」のみ。成田-ホノルル線専用機で、2階席はファーストクラスが8席、ビジネスクラスが56席、プレミアムエコノミーが73席で、1階席はすべてエコノミーで383席となり、合わせて4クラス520席となる。

羽田空港の駐機場へ向かうANA 777-300による札幌発NH54便(奥)。手前は767-300ERと737-800=22年8月27日

国内の500席クラス機はANAの777-300以外はA380のみ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

レイクド・ウイングチップない777-300

 27日のJA752A復帰で、PW4000を搭載するANAの777は9機が商業運航を再開。近く2機目の777-300(JA754A)が再就航する見通しで、10月末までには2機の777-200、8機の777-200ER、5機の777-300の全15機が国内線に復帰する見込み。

777-300ERは主翼端に後退角をつけたレイクド・ウイングチップを備える=21年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 再開初便の記事に対して、弊紙Twitterのフォロワーからは、777-300ERの主翼にある翼端に後退角をつけた「レイクド・ウイングチップ」が777-300にはないことを特徴として指摘するコメントがみられた。

 来年2023年に就航25周年を迎えるANAの777-300。多頻度小型化がトレンドとなり、ジャンボ機から続く500席クラス機が消えゆく中、もうしばらく見慣れた日常は続きそうだ。

*写真は12枚(初日の運航実績は写真下に掲載)。

羽田空港を出発するANAのPW4000搭載777-300再開初便の札幌行きNH51便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のC滑走路を離陸するANAのPW4000搭載777-300再開初便の札幌行きNH51便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港D滑走路に着陸するANA 777-300による札幌発NH54便=22年8月27日

羽田空港の駐機場へ向かうANA 777-300による札幌発NH54便=22年8月27日

羽田空港を離陸するANA 777-300による札幌行きNH63便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を離陸するANA 777-300による札幌行きNH63便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を離陸するANA 777-300による札幌行きNH63便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を離陸するANA 777-300による札幌行きNH63便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を離陸し札幌へ向かうANA 777-300によるNH63便=22年8月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

777-300再開初日の運航実績(全便JA752A、定刻/実績)
NH51 羽田(07:00/07:12 SPOT53)→札幌(08:30/08:41)
NH54 札幌(09:30/09:27 SPOT9)→羽田(11:10/11:08)
NH63 羽田(12:00/12:22 SPOT52)→札幌(13:35/13:50)備考:出発準備で遅延
NH66 札幌(14:30/14:50 SPOT8)→羽田(16:05/16:21)備考:使用機到着遅れで遅延

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