ボーイング787型機の実機が飾られた中部空港(セントレア)の複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」で8月8日、トヨタ紡織(3116)が全日本空輸(ANA/NH)と共同開発した航空機シートの展示が始まった。展示エリア「フライトパーク」の協賛企業にトヨタ紡織が加わったことから、ANAの787の国内線新仕様機に搭載している同社製シートを協賛品として提供した。
8日に展示が始まったシートは、2021年12月9日に就航した787-9の国内線新仕様機に搭載している普通席のシートと同一品。「78G」と呼ばれる客室仕様で、座席数は2クラス375席のうち普通席は347席となり、2機が就航済み。
国内線普通席で最大となる13.3インチの薄型タイプの個人用モニターを採用。背もたれのフレーム形状を最適化したり、座面を低くすることで、大柄な人から小柄な人まで、どのような体格の人が座ってもフィットするようにし、骨盤を支えて疲れにくいシートにした。テーブルのカップホルダーはクローバー型にすることで、紙コップを取り出しやすくした(実機の写真特集はこちら)。
トヨタ紡織の航空機シートは、ANAの767-300に初めて採用され、2015年5月26日に改修初号機が就航。その後、2019年11月16日に777-200ERの国内線新仕様機に導入され、展示中の787向けシートは777向けをベースに画面の大型化などの改良が施された。トヨタ紡織製シートを搭載した767は退役しており、現行機では777と787の国内線新仕様機に搭載されている。
ANAでCX(顧客体験)を統括する矢澤潤子取締役は、「どんな体格の人でも長時間座って疲れない、顧客体験価値が高まるシート。不具合が皆無で年間数百から数千万円かかる整備費を削減できている」と、座り後心地の良さだけでなく、不具合のなさを高く評価した。
FLIGHT OF DREAMSは2018年10月12日開業。787-8の飛行試験初号機「ZA001」(登録記号N787BA)を中心に、体験型コンテンツを提供する展示エリア「フライトパーク」や、飲食や物販などの店舗が入居する商業エリア「シアトルテラス」で構成され、フライトパークは2021年12月23日のリニューアルで一部の一部の遊具を除き、無料で開放している。トヨタ紡織は9社目のフライトパーク協賛企業となった。
中部空港やFLIGHT OF DREAMSを運営する中部国際空港会社の犬塚力社長は「家族連れなどリニューアル後は予想を上回る方に来場いただいている。航空業界や空港に興味を持っていただきたい」とあいさつした。リニューアル以降の来場者は50万人に達したという。
空港会社によると、展示しているZA001は試験機のため航空会社の機体のような内装ではないため、来場者から寄せられていた客室のシートに座ってみたいという声に応えられるものを設置したかったという。
関連リンク
FLIGHT OF DREAMS(中部国際空港)
トヨタ紡織
全日本空輸
写真特集・ANA 787-9国内線新仕様機
・フィット感追求した全席画面・電源付きシート(普通席編)
写真特集・ANA国内線777新シート(普通席編)
・骨盤支えて疲れにくい全席画面・電源付きシート
767向けトヨタ紡織製シート
・テーブルの使い勝手にもこだわり 写真特集・ANA×トヨタ紡織の新シート(15年5月27日)
リニューアルで明るい館内に
・中部空港FLIGHT OF DREAMS、「気軽さ」軸に刷新 地元客強化、家族連れでにぎわう(21年12月23日)