ボーイングは、ロンドン近郊で開催中のファンボロー航空ショーで次世代大型機777Xの飛行試験機(777-9、登録記号N779XW)の機内を公開し、飛行展示を披露した。現地時間で7月18日と19日のロンドン周辺は記録的な酷暑となり、交通機関も乱れたが、多くの関係者が777Xの機内を訪れていた。
777の後継機となる777Xは、全長69.79メートルでメーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、約7メートル長い76.72メートルで426席の777-9の2機種で構成し、777-9から開発が進められている。今年1月31日には、777-8をベースとする大型貨物機「777-8 Freighter(フレイター)」の開発が発表された。納入開始は旅客型の777-9が2025年、貨物型の777-8Fは2027年を予定している。
航続距離は777-8が8730海里(1万6170キロ)、777-9は7285海里(1万3500キロ)を計画。エンジンはGEアビエーション製の新型エンジン「GE9X」を採用した。翼は炭素繊維複合材を用いて軽量化するとともに、777の主翼よりも長くなることから、翼端を折りたためるようにして、777が現在乗り入れている空港に就航できるようにした。全幅は翼端を展開時は71.75メートル、地上で折りたたみ後は64.82メートルとなる。
客室は787と同等の与圧と湿度を実現出来る見通し。
日本の製造分担割合は、777と同じ主要構造部位の約21%で、担当部位も777を基本的に踏襲。三菱重工業(7011)が後部と尾部胴体、乗降扉を、川崎重工業(7012)が前部と中部胴体、主脚格納部、貨物扉を、SUBARU(7270)が中央翼、中央翼と主脚格納部の結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を、新明和工業(7224)が翼胴フェアリング(中・後部)を、日本飛行機が主翼構成品の製造を担当する。
777X全体の受注残は6月末時点で341機。このうちエミレーツ航空(UAE/EK)が115機と3割を占め、カタール航空が74機、シンガポール航空(SIA/SQ)が31機、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)が27機、エティハド航空(ETD/EY)が25機、キャセイパシフィック航空(CPA/CX)が21機、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が20機、ブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)が18機、残り10機が匿名顧客となっている。
このうち、ANAHDは7月11日に20機の777-9のうち、2機を貨物型の777-8Fに変更。777-9は18機受領する。
*飛行展示はこちら。
*写真は10枚。
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