全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は7月11日、ボーイングの次世代大型機777Xの貨物型「777-8 Freighter(フレーター)」を2機発注したと発表した。2014年に導入を発表した20機の大型旅客機777Xのうち、2機を777-8Fに発注変更した。受領は2028年以降を予定している。また、小型機737 MAXも正式発注した。2機種とも日本初導入となる。
—記事の概要—
・777-9から2機発注変更
・737 MAXは20機確定発注
777-9から2機発注変更
ANAHDは、長距離国際線機材777-300ERの後継機として、777Xの導入を2014年3月27日に発表し、同年7月31日に正式発注。777Xはメーカー標準座席数が2クラス384席の777-8と、426席の777-9の2機種で構成され、777-9から開発が進められている。ANAHDが2014年に発注したのは777-9で、現行機777-300ERよりもやや大型化する。
777-8Fは777-8を基にした大型貨物機で、航続距離4410海里(8167キロ)、胴体長70.9メートル、最大積載量(ペイロード)は118トン。747-400Fとほぼ同等の積載能力を持ち、燃費や排出ガス、運航コストを30%改善したもので、今年1月31日に発表した。ANAHDは11日に開催した臨時取締役会で、20機の777-9のうち2機を777-8Fに発注変更した。双発機では最大の貨物搭載量を誇り、従来機と比べてトン当たりの燃料消費量やCO2(二酸化炭素)排出量、運航コストを削減出来るとしている。
777-8Fのカタログ価格は493億円(1ドル120円換算)で、エンジンを含む金額。ANAHDによると、投資額の合計は為替の円安進行を加味しても、機種変更により当初計画を下回る予定だという。
ボーイングは当初、777Xの初号機納入を2020年に予定していたが、その後2021年に延期。ANAHDも2021年度から2027年度としていたが、その後開発遅延により2023年度から2029年度の予定となった。今年4月には、ボーイングはさらに2年遅らせ、2025年に初号機を納入すると発表した。ANAHDの777-9受領開始も、2025年度にずれ込む見通し。
ANAは現行の大型貨物機777Fを2機運航している。
737 MAXは20機確定発注
また、2019年1月29日に発注を発表していた737-8(737 MAX 8)についても、最終購入契約を締結したと11日に発表。確定発注が20機、オプションが10機で、2025年度から現行の国内線機材である737-800の後継機として受領する見通し。
737 MAXは、2018年10月と2019年3月に合わせて2度の墜落事故を起こしているが、2020年11月にFAA(米国連邦航空局)が運航再開を承認。ANAHDによると、現時点で世界46社の航空会社が運航を再開しており、大きな不具合は出ていないとしている。
関連リンク
全日本空輸
Boeing
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