鹿児島空港を拠点とする日本航空(JAL/JL、9201)グループの日本エアコミューター(JAC/JC)が、仏ATRのターボプロップ機ATR42-600型機(1クラス48席)をパリ航空ショーで発注したのが2015年6月15日。確定発注が8機、オプション(仮発注)が1機、購入権が14機の契約で、日本でATR機を導入するのは天草エアライン(AHX/MZ)に続き2社目となった。
最終的に11機のATR機を発注したJACにとって、発注分最後の受領機で5月に到着したATR42(登録記号JA11JC)には、エコをイメージしたハートのデザインが前方貨物室のドアに描かれた。JACがATR機を発注した2015年から数えると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、7年がかりで機材更新を終えた。
—記事の概要—
・サーブとQ400置き換え
・ハートの葉は鹿児島県木「カイコウズ」
サーブとQ400置き換え
JACのATR初号機(ATR42-600、JA01JC)が鹿児島空港へ到着したのは2017年1月26日で、同年4月26日に就航。その後座席数が22席多いATR72-600(1クラス70席)も2機発注し、JACのATR機として通算6機目となるATR72の初号機(JA06JC)が2018年11月7日に到着した。ATR72は日本初導入で、同年12月1日に就航した。
ATR42は発注した2015年6月時点で10機あったサーブ340B(1クラス36席)を、ATR72は11機あったボンバルディアQ400(DHC-8-Q400)を置き換え、2020年2月12日のサーブ退役で機材をATR機に一本化した。Q400はサーブより前に退役しており、定期便の運航を2018年11月30日に終え、翌12月1日と2日に退役チャーターを実施して商業運航から離脱した。
そして今年5月8日に、ATR42の9号機(JA11JC)が鹿児島空港に到着。JACのATR機としては通算11機目で、発注済みの全機がそろった。11機のうち、9機がATR42、残り2機がATR72で、通算6機目(JA06JC)と8機目(JA08JC)がATR72となる。2機種はパイロットのタイプレーティング(機種別操縦資格)が同じで、スペアパーツも90%が共通化されており、ATR72は主に高需要路線へ投入している。
ハートの葉は鹿児島県木「カイコウズ」
発注分の最終受領機となった9号機には、エコを意識したデザインが施された。機体前方にエコを象徴する鹿児島県の県木「カイコウズ」の葉でハートをかたどったイラストと、CO2(二酸化炭素)排出量が少ないターボプロップ機であることを示す「ecoPROP(エコプロップ)」のロゴを入れた。
JACの地元である鹿児島は、世界自然遺産登録されている屋久島や奄美大島、徳之島、沖縄など、自然が豊かな地域に就航していることから、環境にやさしい機体を導入していることをハートにかたどったカイコウズの葉で表現した。
9号機は当初6月1日に就航する予定だった。しかし、5月18日にJALグループで札幌の丘珠空港を拠点とする北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)のATR42-600(JA13HC)に不具合が発生し、JACから共通事業機のATR42を21日から23日までHACへ貸し出した影響で、9号機の初便は21日の鹿児島発喜界島行きJL3783便となった。
6月1日に鹿児島空港を訪れると、鹿児島県の多くの離島で「市町村の花」となっているハイビスカスを基調としたデザインが施されたATR42の初号機と2号機(JA02JC)に挟まれるように9号機が駐機されていた。この日の9号機は午前8時46分に奄美大島行きJL3725便として鹿児島を出発し、折り返しの鹿児島行きJL3724便、鹿児島発沖永良部行きJL3803便、折り返しの鹿児島行きJL3804便、鹿児島発種子島行きJL3777便、折り返しの鹿児島行きJL3772便の計6便に投入された。
コロナの影響で観光需要はまだ回復の道半ばだが、9号機も自然が豊かな離島への足として活躍するだろう。
*写真は23枚(外観→客室→出発の順)。
関連リンク
日本エアコミューター
Avions De Transport Regional (ATR)
ATR42
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