エアバス, エアライン, 機体, 空港 — 2022年5月20日 16:14 JST

ANA、A380で結婚写真　グループ社員が企画、再開前に“休眠機”活用

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　全日本空輸（ANA/NH）は5月20日、総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU（フライング・ホヌ）」を活用した結婚の記念撮影を、成田空港で実施した。駐機中の機材を活用した企画で、グループ社員が立案した。A380を活用した結婚写真企画は今回が初めて。

ANAのA380の前で結婚写真を撮影する高岡さん夫妻＝22年5月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
・カウチシートで寝転んで撮影
・プランナー経験ある社員が企画
・「思い出に残ることを」
・7月に定期便再投入

カウチシートで寝転んで撮影

ANAの結婚写真企画の参加者にプレゼントする搭乗券をイメージした色紙とテディベア＝22年5月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

　記念撮影には、427番駐機場（スポット）に駐機中のA380初号機（登録記号JA381A）を活用。新郎新婦はウェディングドレスなどを着用し、機内や機側で記念撮影した。撮影はカメラマンが担い、ファーストやビジネスの各クラスで撮影を進めた。またエコノミーの後方に導入するカウチシートでは、寝転んだ状態でも撮影した。

　機側では機種や尾翼付近などの各所のほか、貨物コンテナなどを牽引（けんいん）するトーイングトラクター（TT車）にも乗って撮影した。

　価格は平日が53万7000円、土日祝が58万9000円で、3月18日に販売を開始し、3組から応募があった。3組の都合をすりあわせ、記念撮影の実施日は5月20日の1日のみに決定。当日は応募した長野と大阪、新潟の3組が参加した。

　参加者には搭乗券をイメージした色紙と、テディベアのぬいぐるみをプレゼントした。

ANAのA380エコノミークラス後方のカウチシート寝転んだ高岡さん夫妻を撮影するカメラマン＝22年5月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

プランナー経験ある社員が企画

A380を活用した結婚写真企画を立案したANAテレマートの西尾さん＝22年5月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

　今回の企画は、ANAグループで航空券の予約などの電話案内を担うANAテレマートに所属する西尾美紀（みのり）さんが企画。新型コロナウイルスの影響により運休が続き、駐機状態となっている機材を活用する企画として、昨年8月に開かれた社内コンテストで立案した。

　学生時代にウェディングプランナーの資格を取得済みの西尾さんは、ウェディングと旅行は密接に関わっていることから企画したと説明。「ウェディングへの思いも残っていた」ことから企画したという。参加者との打ち合わせでは「何を求めているか分かり、話がスムーズに進んだ」ことから、プランナーとしての経験が生きたようだ。

　西尾さんによると、飛ばない機内でいかに「ハワイらしさ」を出すかに苦労したという。ハワイらしさはレイのほか、ウミガメをモチーフにしたANAのオリジナルキャラクターのラニとカイ、ラーのぬいぐるみなど、小物で演出した。

「思い出に残ることを」

　参加した3組のうちの1組、長野・松本市在住の高岡辰伍さん（27）と有佳さん（27）夫妻は、お互いに航空機を見るのが好きなことから参加を決めた。

　高岡さん夫妻は今年2月に入籍を済ませているが、新型コロナにより挙式や披露宴、新婚旅行をしていなかったという。夫の辰伍さんは「コロナで挙式などが困難な状態が続いた。できる範囲で思い出に残ることをしよう」と応募を決意したという。

　辰伍さんは妻の有佳さんに、今回の企画への参加を相談。1日悩み、翌日に応募した。有佳さんの両親がA380を活用したレストラン企画「レストランFLYING HONU」に参加し、有佳さんがうらやましがっていたことから、話しが進んだという。

　辰伍さんは記念撮影後、「いろいろなシートで写真を撮れたのが楽しかった」と満足そうな様子で成田空港を後にした。

ANAのA380エコノミークラスで結婚写真を撮影する高岡さん夫妻＝22年5月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

7月に定期便再投入

成田空港を出発するANAのA380初便となるホノルル行きNH184便＝19年5月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

　ANAのA380は成田－ホノルル線の専用機材で、全3機にハワイの空と海、夕陽をイメージした特別塗装を施しており、初号機が青（ANAブルー）、2号機（JA382A）が深緑（エメラルドグリーン）、3号機がオレンジ（サンセットオレンジ）と1機ごとに色が異なる。「FLYING HONU（フライングホヌ）」は「空飛ぶウミガメ」を意味し、機首の表情も正面を見る初号機、ほほ笑む2号機、まつげを描いた3号機と違いがある。

　A380は2019年5月24日に初号機が就航。今年で就航3周年を迎える。新型コロナの影響により、2020年3月25日に成田へ到着したホノルル発NH181便を最後に定期便への投入が途絶えていたが、2021年の夏休みの繁忙期に一時的に再投入。定期便への導入は1年4カ月ぶりとなった。

　成田－ホノルル線は現在運休が続いているが、7月1日から週2往復での再開が決定。再開後は2往復ともにA380を投入する。

＊写真は20枚（資料写真含む）