カンタス航空(QFA/QF)は現地時間5月2日、エアバス機を計52機発注し、2025年後半にシドニーとニューヨークやロンドンを結ぶ超長距離路線を開設すると発表した。機材の内訳はA350-1000型機を12機、A321XLRを20機、A220-300を20機で、超長距離路線にはA350-1000を投入する。豪州の航空業界による発注では過去最大規模になる。
—記事の概要—
・A350-1000
・A321XLRとA220
A350-1000
A350-1000は2025年に受領を開始し、2028年までに全機がそろう。座席数は4クラス238席で、機内の4割以上が上級クラスになるという。ファーストクラスとビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスで構成し、プレエコのシートピッチは40インチ、エコノミーは33インチとなり、水分補給用の「ウェルビーイング・ゾーン」を設ける。
カンタス航空は、2019年に豪州発着のニューヨークやロンドンへの直行便就航を目指す計画「プロジェクト・サンライズ」を発表。ボーイング787-9型機を使い、ニューヨークやロンドンからシドニーへ約19時間フライトし、データを集めた。カンタスの社員が中心で乗員を含めて40人程度が搭乗し、健康状態などを調べた。最初の検証フライトは、2019年10月18日のニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)発シドニー行きQF7879便(787-9、登録記号VH-ZNI))で、1万6200キロを19時間16分で飛行した。
プロジェクト・サンライズでは、エアバスがA350-1000、ボーイングが開発中の777Xを提案していた。アラン・ジョイスCEO(最高経営責任者)は「パース-ロンドン直行便は2017年に就航し、プロダクトとサービスが適切ならば利便性や時間の節約に対する多くの需要があることを示した。コロナ前は当社最長の路線で、顧客満足度ももっとも高い路線だった。A350のファーストクラスとビジネスクラスは、長距離路線の新たなベンチマークになるだろう」と自信を示した。
ジョイスCEOは「最初のフライトはニューヨークとロンドンからだが、A350-1000はパリやフランクフルトなどの都市から豪州への直行便も運航できるようになる」と語った。
カンタスによると、直行便にすることで現在のワンストップよりも最大約4時間短縮できるという。
A350による超長距離路線は、シンガポール航空(SIA/SQ)が超長距離型のA350-900ULRを使い、シンガポールとニューヨーク対岸のニュージャージー州ニューアークを結ぶ世界最長路線(SQ22/21便)を運航。カンタスの計画ではこれを上回り、世界最長路線の称号を奪うとみられる。
A321XLRとA220
A321XLRとA220-300は豪州国内線の機材更新で、2023年後半から受領予定。「プロジェクト・ウィントン」と呼ぶ機材選定で、退役するボーイング737型機と717(旧マクドネル・ダグラスMD-95)合わせて95機を置き換える。A220-300を2023年後半から、A321XLRを2024年後半から受領する見通しで、A320とA220両ファミリーに対する94機の購入権付きの契約を結んだ。今回の契約で、カンタスグループの単通路(ナローボディー)機の発注は購入権を含めて299機になった。
A321XLRの座席数は2クラス200席(ビジネス20席、エコノミー180席)で、航続距離は737の8700キロより約3000キロ延びる。豪州国内線や東南アジアや太平洋諸島など短距離国際線に投入する。
A220-300は2クラス137席(ビジネス10席、エコノミー127席)で、航続距離は約6000キロ以上。カンタスによると、豪州のどの都市間にも投入できるという。
エンジンは2機種ともプラット&ホイットニー(PW)製で、A321XLRがPW1100G-JM、A220がPW1500Gを採用した。
関連リンク
カンタス航空
カンタス航空
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